CASE STUDY ANAケータリングサービス 様
作業状況をリアルタイムで可視化!
クラウド型WMS「COOOLa」をベースに
信頼性の高い「カート管理システム」を構築
航空機向けケータリングサービスを提供するANAケータリングサービス様。従来、ミールカートの管理を紙で行ってきたが、作業履歴が残らず、目視による人為ミス発生のリスクもありました。上記の課題解決のためオフショア開発に強いブライセンにカート管理のシステム化を依頼。COOOLaをベースにしたシステム導入によりどのように課題を解決したのか、またどのような効果が現れたのか、ご担当者の方にお話をお伺いしました。
- BtoB
- BtoC
- 3PL
ANAケータリングサービス
設立:1990年11月2日
本社所在地:東京都大田区羽田空港3-2-8
代表者:代表取締役社長 石田 洋平
物流拠点:
本社・羽田工場 東京都大田区羽田空港3-2-8
川崎工場 神奈川県川崎市川崎区殿町3-26-1 ANA川崎ケータリング棟 ※
成田工場 千葉県成田市堀之内68番地
事業内容:機内食の製造・調製業務、航空機への機内サービス用品の搭載・取降し業務、機内サービス用品の保管・管理業務
※COOOLa導入拠点
ANAをはじめ航空各社に機内食やドリンク、機内販売品などの機用品、そして備品類の搭載を担う。機内食は、食材や素材の調達から調理までを自社工場で行い、「空のレストラン」と呼ばれるのに相応しい、レストランと同等レベルの料理を提供している。新型コロナ拡大を機に機内食のネット販売を開始。家庭でも空のレストランを堪能できることから好評を博している。
ご担当者:
株式会社 ANAケータリングサービス
生産技術部 部長 小山 敬弘様
生産技術部 スーパーバイザー 五十嵐 翔様
川崎工場 国際線オペレーション部 国際線搭載1課 アシスタントマネージャー 清水 直哉様
川崎工場 国際線オペレーション部 国際線搭載2課 田中 愼一様
業務推進部 IT推進課 担当課長 齊藤 一智様
業務推進部 IT推進課 西山 ありす様
紙管理のため、作業履歴が追いにくく
人為的ミス発生の恐れもあった
———御社の業務の流れを教えてください。
航空機に積み込む機内食をはじめ、ドリンク類や備品などを専用のカートにセットして、時間までに機内へ過不足なく積み込むことが当社の主な業務であり、ミッションでもあります。羽田空港の国際線で積み込むものは、川崎工場ですべて準備しています。
機内食の調理部門や機用品を準備する部門が、それぞれ部品などのカートに積み込んで確認。その後、実際にカートの搭載を準備する我々の部門にカートが流れてきます。ここで最終チェックしたのち、羽田へトラックで送り出し、空港で対象の航空機に積み込みます。
———以前はどのようにカートを管理されていたのでしょうか。
以前は、カート出荷時のチェックはすべて紙を使って手作業で行っていました。カートには、「どの便のどの位置に積む何の物品」かが分かるラベルが貼られており、それを1つ1つチェック用の伝票と照合してから空港へ出荷します。空港では、再度チェックしてからそれらを対象の便へ積み込みます
紙による管理の場合、目視でチェックしていたので「搭載した」という証拠が残らないことが問題でした。また、目視による確認では、チェックミスで違う便のものを運んでしまったりする恐れもあります。
さらに、作業のたびに発生するチェック用の伝票の数が膨大になり、年々保管場所に窮するようになってきています。後日、確認のために特定の便の伝票を探さなければならない場合に、相当の工数がかってしまうというもの課題でした。
「短期開発」と「品質の担保」を両立させた
ブライセンの提案を採択
———今回のRFPでは特にどのような点に重きを置かれましたか。
システム導入後は、実際毎日それを操作して業務を行うことになります。従って、画面のレイアウトや見え方に特に留意しました。どこを押せば、何の情報を、どのタイミングで見ることができるのかなど、業務で使用するユーザー視点での使いやすさにかなりこだわってRFP上でお伝えしました。また、航空機は発着時刻が頻繁に変わったり、欠航になったりするなどのイレギュラーの発生が非常に多いことが特徴です。そのようなイレギュラーにどこまで柔軟に対応できるのか、という点もポイントでした。
———ブライセンの提案を採択いただいた具体的な理由を教えてください。
開発期間に余裕が無いため、開発会社選定に際しては短期間でしかも高い品質のものを製作いただくことが選定基準となりました。当社の業務の特性上、新規システム導入によって業務に遅延が生じることは許されないため、品質を担保いただくことが重要な条件です。
他社がなかなか当社の納得できるような形でご提案いただけなかったところ、ブライセンさんの場合は、具体的なテスト基準を提示するなど「このような工程で、この数字クリアすることで品質を担保する」と明確な形でご提案いただきました。品質を担保いただくには、当社独自の業務内容を充分に理解していただくことも必要ですが、ブライセンさんの提案には当社の要望がしっかりと反映されており、よく業務を理解した上での提案であることが分かりました。
作業状況をリアルタイムで可視化。
作業記録を残しながら作業時間10%短縮
———システム導入前の当初の課題は解決しましたか。
システム導入により、チェック作業の証拠が確実にデータとして残るようになりました。これにより、仮に部品不足などが発生してその作業内容を事後検証する場合でも、積んだかどうかの確認が簡単にできます。作業する側にとっても、自分が作業した証拠が残るので安心して作業できるようになりました。
また、従来は各カートのラベルとチェック用伝票を1つずつ目視で確認していましたが、導入後はカートのラベルにあるQRコードを読み取るだけで自動的に正しいものかどうかをチェックできるようになりました。チェックが自動化したことで目視の際に発生するヒューマンエラーを抑えることができます。
加えて、作業効率も向上し、1便当たりの準備時間を10%程度短縮できています。その他にも、最終的に積み残しがないかどうかをデータで確認できるようになり、より正確なオペレーションが可能になりました。
———その他にどのような導入効果がありましたか。
実際に今行っている便の作業状況をリアルタイムで把握できるようになったことも大きな変化です。今どの程度作業が進んでいるのか、どれぐらいで完了しそうなのか、管理者視点で状況把握できるようになったことで、状況に応じて現場とコミュニケーションをとりながら進めたり、作業全体をコントロールしたりすることが可能になりました。
———ブライセンの開発力や対応力に対する評価をお聞かせください。
今回、短納期でしかも難易度の高いシステムであったことが大きな課題でした。その点ブライセンさんは、きっちりと期間内で満足のいくシステムを構築していただきました。また、例えば頻繁に変更が発生して業務の流れを組み換えなければならないなど、航空機向けケータリング事業特有の事情も理解してシステムに反映するなど、対応力にも優れていると感じました。
実際に現場スタッフが使いやすいように、カーソルの動きや色、フォントなどにも徹底的にこだわってきましたが、そのような当社の意向に沿った製品を作り上げていただきました。
「個別の物品管理」や
「消費データ分析による準備作業の最適化」を目指す
———今後の業務デジタル化に関するビジョンをお聞かせください。
今回のシステム化対象は、航空機にカートを積み込む前の準備作業でしたが、次に取り組みたいのは、カートの中身である各物品の在庫管理や入出庫管理の部分です。現状、紙で管理しているのですが、厳格な管理が必要な保税品も取り扱っているため、できるだけ早くシステム化し、自動的に記録が残るような仕組みを構築したいと考えています。
さらに、現在機内食やドリンクなどをカートにセットする際、その種類や数などをスプレッドシートとタブレットを使用して、自社開発した簡易的な仕組みで管理しています。これらの情報からは、いつどれぐらい、何がどこで消費されたのかが分かり、さらにデータ分析することで、今後の最適な準備作業が明確になります。ただし、データ量が膨大なため、現状そこまでは活用できていません。
周知のとおり、航空機では重量を減らせば燃費が上がります。データを活用することで、さらに無駄を省いて軽量化が図れるかもしれません。これらを実現するために今後さらにデジタル化を進めていく方針です。