CASE STUDY 昭文社ホールディングス 様
クラウド型WMS「COOOLa」が自動倉庫との連携にも対応!
物流作業の効率化とシステムコスト削減に貢献
地図やガイドブックなどさまざまな出版物を中心に、法人向けデジタルソリューションまで手掛ける昭文社グループを統括する昭文社ホールディングス様。グループ内のシステム管理も担う同社では、基幹システム刷新に合わせてクラウド型WMSの導入を検討します。クラウド型WMS導入によりどのように物流作業の効率化を進められたのか、ご担当者の方にお話をお伺いしました。
- BtoB
昭文社ホールディングス
創立:1960年5月31日
本社所在地:東京都千代田区麹町3-1
代表者:代表取締役社長 黒田 茂夫
物流拠点:埼玉製本センター(埼玉県加須市)、大阪商品センター(大阪府摂津市)
事業内容:グループ全体の経営戦略立案、企業価値向上および不動産事業、物流事業等を展開
グループ会社:株式会社昭文社、株式会社マップル、株式会社昭文社クリエイティブ、株式会社マップル・オン、株式会社マップル・スプリング
地図やガイドブックの出版を始めコンテンツ制作や官公庁・法人向けデジタルソリューション事業などを展開する傘下企業を有する昭文社ホールディングス様。グループ全体の経営戦略立案と共に、総務や経理、情報システムや不動産の管理、および物流を担っています。
ご担当者:
株式会社昭文社ホールディングス
取締役管理本部長 加藤 弘之 様
管理本部 情報システム部 部長 春日 勉 様
管理本部 物流部 物流課 大阪商品センター長 濱本 敏裕 様
複数物流拠点の管理効率化を目指しクラウド型WMSの導入を検討
———今回どのような背景があり、WMSの入れ替えをご検討されたのでしょうか。
当社では2017年頃から基幹系システムの段階的な刷新を進めており、物流システムもその見直し対象となっていました。長年自社開発の物流システムを使用してきましたが、この見直しを機に、クラウドサービスを導入しようということで、COOOLaを始めさまざまなサービスの比較検討を始めました。
———クラウドサービスの導入を検討されたのはどのような理由からでしょうか。
当社は埼玉県加須市と大阪府摂津市の2カ所に物流拠点があります。これまでそれぞれの拠点にサーバーを設置して自社開発の物流システムを稼働させてきました。これは、一方の拠点で災害や通信障害などが発生しても、もう一方の拠点から商品を発送できるよう、リスクマネジメントにも配慮してのことでした。しかし、そのような環境を維持するコストが障害発生のリスクに対して高すぎるのではないかと感じ始めたのが理由の1つです。さらに、そのような環境では、東西2拠点の在庫などのさまざまな情報をお互いに共有するのが難しいという課題もありました。そこで、所在地に依存しないクラウドサービスへ移行することで、そのような問題の解決を図りたいと考えました。
COOOLa採択の理由はカスタマイズ対応能力・迅速な対応スピード
———いくつかクラウドサービスを比較検討されたということですが、具体的にはどのような点を比較・検討されたのでしょうか。
まず既存の自動倉庫の制御が行えるかどうかが第一の選定条件でした。自動倉庫システムのインターフェースが少し特殊なのですが、以前は連携部分についても自社で対応していたため特に問題はありませんでした。しかし、クラウドサービスを利用するとなると、そのインターフェースにうまく適合するサービスが必要でした。標準的な倉庫管理機能を持つサービスをベースに、自動倉庫を制御できるようカスタマイズ対応できる会社を探していたのですが、それに適合するサービスがなかなか見つかりませんでした。
2社まで候補を絞り込んで当社の物流拠点に来てもらい、業務内容を実際に目で見ていただいた上で判断することとしました。最終的に、カスタマイズの対応能力に加えて提案や見積依頼に対するレスポンスの早さなどから、対応いただく体制に非常に安心感を持つことができたブライセンのCOOOLaを採択しました。
———具体的にどのようなカスタマイズをされたのでしょうか。
まず、自動倉庫との連携のため、自動倉庫側のインターフェースに合わせる形で連携用ファイルを出力できるようCOOOLaをカスタマイズしました。自動倉庫側のシステムは倉庫内にありますが、COOOLaはクラウド上に存在するので、その間のデータのやり取りに関するカスタマイズが中心でした。
また、出版物は書店やお客様に商品を直送することはほとんどなく、取次様宛てに出荷しています。その際独自の帳票を使用しているためにCOOOLa標準の帳票を使うことができず、オリジナルの帳票を新たに作成しました。加えて、効率良くピッキング作業ができるよう、庫内で使用する帳票についてはフォントの大きさや罫線の幅を調整して見やすい帳票にしています。
ピッキング作業効率化とコスト削減に貢献
———COOOLa稼働後の利活用状況について教えてください。
COOOLaが稼働して約3カ月になりますが、実際の作業現場では作業の精度やスピードに特に問題なく利用することができています。30年以上も旧システムを使ってきましたので、システム変更に慣れるためには多少時間が必要なのではと思っていましたが、ピッキング現場からはむしろ作業がやりやすくなった、という声が上がっています。
自動倉庫との連携に関しては、COOOLaから自動倉庫内の商品に対して入庫や出荷、移動などの制御を実行すると、自動倉庫に伝えるための制御ファイルがCOOOLaから出力され、FTPで自動倉庫側に自動送信されます。自動倉庫側でファイルを読み込んでそれを元に制御をかけるという方法で連携させていますが、今のところ問題なく稼働しています。
———COOOLa導入によってどのような効果が現れていますか。
ピッキング作業用の帳票が非常に見やすいレイアウトになりました。当社作業員は高齢の方も多く、あまり字が小さいと見づらくなります。かと言って文字が大きいと情報量が減ってしまい必要な情報を表示できなくなります。その辺りのバランスを取りながら作業のしやすさにも配慮して最適な帳票を作り上げていただきました。そのおかげで作業ミスも減ってきています。
当社の倉庫では、入荷した商品は自動倉庫や移動ラック内にケース単位で保管していますが、ピッキングの現場ではお客様のオーダーによって1冊単位でピッキングして出荷します。ピッキング現場の商品が少なくなるとケース単位で補充します。それぞれ取り扱う単位が変わるのですが、補充タイミングが遅れると作業が滞ってしまいます。反対にあまり早く補充すると、今度は作業現場が商品で溢れて作業の邪魔になります。COOOLaを活用して、季節や商品の売れ行きに合わせて補充タイミングを常に見直すことで最適化し、無駄なくスムーズなピッキング作業ができています。どのタイミングで商品を補充するのかなどの適切なしきい値は、商品の売れ行きや季節などによっても左右されるので、そのような適正値の管理をCOOOLaにスムーズに移行して実施しています。
また、従来の自社開発システムは東西各拠点にサーバーを設置して運用していたことは先ほど申し上げましたが、その環境だと数年ごとにサーバー環境を更新する必要があり、そこに大きなコストがかかっていました。今回クラウドベースのCOOOLaへ移行したことで、当該のコストが不要になり、年間数百万単位でのコスト削減が実現できています。
システム間連携や拠点間連携を強化し、さらに効率アップを目指す
———今後COOOLaをどのように利活用していきたいとお考えでしょうか。
今後既存システムのアップデートを予定しており、それに合わせてシステム間連携をさらに進めていきたいと考えています。システム間連携が進めば、現在課題にもなっている作業中の画面操作の手間を減らすことができます。
また、この先COOOLaを活用して、東西2カ所ある物流拠点の情報を一元管理することで、まるで1拠点のように取り扱うことができるようにならないか検討しています。仮想的に1拠点として統合することで、作業内容や作業量などの全体適正化が可能になり、全社的な作業効率化が実現できます。オペレーションする作業員の負荷も軽減されるのではと考えています。
全体的な物流体制においても、さまざまな状況に合わせて物流拠点の増減を検討していくことが考えられますし、今後事業が拡大していけば、海外への展開が可能な物流体制を整えていくことも必要になってくるかもしれません。
今回新システムを導入したことで、従来の書店様以外の販路拡大に向けて、さまざまなことにチャレンジできる環境が整ってきたのではないかと考えています。