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物流費の推移と内訳を徹底解説!高騰の原因と企業が実践できる削減方法

2026.02.17

倉庫業務・管理

物流費

企業経営において、物流費の管理と最適化は避けて通れない課題です。日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の調査によると、売上高物流コスト比率は2020年代に入り5%台で推移しており、長期的な上昇傾向が続いています。ドライバー不足や燃料費の高騰、EC市場の拡大など、物流費を押し上げる要因は複合的に絡み合っている状況です。

本記事では、物流費の基本的な定義から過去20年間の推移データ、高騰の原因、そして企業が実践できる具体的な削減方法まで体系的に解説します。 自社の物流コスト見直しを検討する際の参考にしてください。

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物流費(物流コスト)とは

物流費(物流コスト)とは、商品や原材料を生産地から消費者のもとへ届けるまでの過程で発生する費用の総称です。物流費は大きく「輸送費」「保管費」「荷役費」「包装費」「物流管理費」の5つに分類され、それぞれが物流プロセスの異なる段階で発生します。

輸送費はトラックや鉄道、船舶などによる商品の運搬にかかるコストであり、多くの企業で物流費全体の半分以上を占める最大の費目です。保管費は倉庫の賃料や光熱費、荷役費は入出荷時の積み下ろしや仕分けにかかる人件費、包装費は梱包資材や作業費、物流管理費は受発注処理やシステム運用にかかる費用を指します。

物流費の水準を把握する代表的な指標が「売上高物流コスト比率」です。JILSが荷主企業を対象に毎年実施している物流コスト調査では、各企業の物流コスト金額を売上高で除した値を算出し、全業種の平均値を公表しています。この指標は、自社の物流効率を業界水準と比較するベンチマークとして広く活用されています。

物流費の推移

JILSが公表している売上高物流コスト比率の推移を見ると、2010年代までは4%台後半で推移していましたが、2020年代に入り5%台の高水準で定着しつつあります。とくに2024年度調査では5.44%を記録し、過去20年間で5.70%を記録した2021年度調査に次ぐ高い水準となりました。

過去20年間の売上高物流コスト比率(全業種平均)の推移は以下のとおりです。

年度 売上高物流コスト比率
2024年度 5.44%
2023年度 5.00%
2022年度 5.31%
2021年度 5.70%
2020年度 5.38%
2019年度 4.91%
2018年度 4.95%
2017年度 4.66%
2016年度 4.97%
2015年度 4.63%
2014年度 4.70%
2013年度 4.77%
2012年度 4.72%
2011年度 4.90%
2010年度 4.90%
2009年度 4.79%
2008年度 4.77%
2007年度 4.87%
2006年度 4.84%
2005年度 4.83%

2022年度から2023年度にかけては2年連続で比率が下降しましたが、これは物流コスト単価の上昇以上に荷主企業の売上高(販売単価)が伸びたことが主な要因と分析されています。一方、2024年度調査では再び上昇に転じており、物流事業者からの値上げ要請に対する価格転嫁が一定程度進んだことが示唆されています。

出典:日本ロジスティクスシステム協会 物流コスト調査

物流費が高騰している原因

物流費の上昇は、単一の要因ではなく複数の構造的な問題が重なり合って生じています。企業が適切な対策を講じるためには、高騰の背景を正確に理解することが不可欠です。ここでは、物流費を押し上げている4つの主要な原因を解説します。

  • 2024年問題によるドライバー不足と運賃上昇
  • 燃料費・エネルギーコストの高騰
  • EC市場拡大に伴う小口配送の増加
  • 人件費の上昇と最低賃金引き上げの影響

2024年問題によるドライバー不足と運賃上昇

2024年4月から、自動車運転業務における時間外労働の上限が年間960時間に制限されました。この規制強化により、1人あたりの稼働時間が減少し、同じ輸送量を維持するにはより多くのドライバーが必要となるため、輸送能力の不足と運賃の上昇が加速しています。

トラック運送業界は以前から慢性的な人手不足に直面しており、ドライバーの高齢化と若年層の参入減少が構造的な課題となっています。労働時間の上限規制は労働環境の改善に不可欠な施策ですが、短期的には輸送供給の制約をさらに強める結果となりました。

JILSの2024年度調査では、回答企業の91.7%が物流事業者からの値上げ要請を受けたと回答しており、そのうち97.4%が要請に応じた結果も出ています。ドライバー不足を背景とした運賃上昇は、今後も続く構造的な傾向といえます。

燃料費・エネルギーコストの高騰

物流費の中で大きな割合を占める輸送費は、燃料価格の変動に直接影響を受けます。近年は原油価格の高止まりや円安の進行により、軽油をはじめとする燃料費が上昇し、輸送コストを押し上げる要因となっています。

燃料費の上昇は、トラック輸送だけでなく、鉄道や海運、航空貨物といったすべての輸送モードに波及します。加えて、倉庫の空調設備やフォークリフトの稼働に必要な電力・エネルギーコストも上昇しており、保管費や荷役費にも影響が及んでいる状況です。

燃料費は国際情勢や為替レートに左右されるため、企業が直接コントロールすることは困難です。そのため、輸送効率の改善やモーダルシフトなど、消費量そのものを抑制する取り組みが求められます。

EC市場拡大に伴う小口配送の増加

EC(電子商取引)市場の拡大により、消費者向けの小口配送件数が急増しています。BtoC配送では、1件あたりの荷量が少ないにもかかわらず個別に届ける必要があり、配送単価が上昇する構造的な要因となっています。

再配達の問題も物流費を押し上げる大きな要因です。不在による再配達は、ドライバーの稼働時間と燃料を二重に消費するため、配送効率を大きく低下させます。加えて、「翌日配送」「時間帯指定」といったサービスの高度化も、物流ネットワークへの負荷を増大させている要因の一つです。

EC市場の成長は今後も続くと見込まれるため、小口配送の効率化は物流業界全体の課題として対応が求められます。

人件費の上昇と最低賃金引き上げの影響

物流業界では、ドライバーだけでなく、倉庫内作業員やフォークリフトオペレーターなどの人件費も上昇傾向にあります。最低賃金の引き上げが全国的に進んでおり、パートやアルバイトスタッフの比率が高い倉庫現場では、人件費の増加が物流費全体を押し上げる直接的な要因です。

人手不足を背景に、採用競争も激化しています。物流業界は他業界と比べて賃金水準が低い傾向にあるため、人材を確保するには待遇改善が不可避であり、これがさらなるコスト上昇につながるという構造的な課題を抱えています。

人件費の上昇に対しては、賃上げと並行して、業務効率化や自動化により1人あたりの生産性を向上させる取り組みが重要となります。

物流費を削減する方法

物流費の高騰が続く中で、企業が収益を維持するためにはコスト削減への積極的な取り組みが欠かせません。重要なのは、サービス品質を維持しながらムダを排除する視点です。ここでは、企業が実践できる5つの物流費削減方法を解説します。

  • 物流拠点の最適化・集約
  • 配送ルートの見直しと積載効率の向上
  • 倉庫管理システム(WMS)の導入による業務効率化
  • 物流業務のアウトソーシング(3PL)の活用
  • 在庫管理の適正化による保管コスト削減

物流拠点の最適化・集約

物流拠点の配置を見直し、需要地に近い場所に拠点を集約することで、輸送距離の短縮と配送リードタイムの改善を同時に実現できます。拠点数が多すぎると各拠点の稼働率が下がり、保管費や人件費が分散して非効率になるため、拠点の統廃合は物流費削減の基本的な施策です。

拠点最適化にあたっては、出荷先の分布データや配送頻度を分析し、最適な拠点数と配置を割り出す必要があります。単に拠点を減らすだけでは、特定エリアの配送リードタイムが延びるリスクもあるため、慎重なシミュレーションが不可欠です。

加えて、クラウド型WMSを導入すれば、拠点を集約した後も複数倉庫の在庫を一元管理できるため、拠点再編と業務効率化を並行して進めることが可能となります。

配送ルートの見直しと積載効率の向上

配送ルートの最適化とトラックの積載効率向上は、輸送費削減に直結する施策です。配送先の組み合わせや巡回順序を見直し、走行距離と空車率を最小化することで、同じ配送件数でも燃料費や人件費を抑制できます。

積載効率については、トラック1台あたりの荷物量を最大化する「混載」や「共同配送」の活用が有効です。自社だけでは満載にならない場合でも、他社の荷物と組み合わせることで積載率を高め、1個あたりの輸送コストを低減できます。

配送管理システム(TMS)を活用すれば、配送ルートの自動最適化や積載シミュレーションをおこなえるため、属人的な経験に頼らない効率的な配車計画の立案が可能です。

倉庫管理システム(WMS)の導入による業務効率化

WMS(倉庫管理システム)を導入することで、入出荷作業、在庫管理、棚卸、ロケーション管理といった倉庫業務全体をデジタル化し、効率化を図ることが可能です。作業の標準化と自動化により、人件費の削減とヒューマンエラーの防止を同時に実現でき、物流費の中でも大きな割合を占める荷役費と保管費の最適化に直結します。

WMSによるリアルタイムの在庫把握は、過剰在庫や欠品の防止にも効果的です。適正在庫を維持することで、不要な保管コストを抑えながら、販売機会の損失も防止できます。

さらに、クラウド型WMSであれば複数拠点の一元管理にも対応可能なため、拠点間の在庫移動や需給調整を効率化し、物流ネットワーク全体のコスト最適化にも貢献します。

物流業務のアウトソーシング(3PL)の活用

物流業務を専門の3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者に委託することで、自社で倉庫や配送網を維持するコストを削減できます。3PL事業者は複数の荷主企業の業務を集約して運営するため、スケールメリットにより1社単独では実現しにくい低コストでの物流オペレーションが期待できます。

アウトソーシングのメリットは、コスト面だけではありません。物流のプロフェッショナルに業務を任せることで、自社のリソースをコア事業に集中できる点も大きな利点です。繁閑差の大きい業態では、物量の変動に応じた柔軟なリソース調整が可能になる点も有効です。

一方、委託先との情報共有体制やKPIの設定が不十分だと、品質管理が難しくなるリスクもあるため、パートナー選定と運用設計を慎重におこなう必要があります。

在庫管理の適正化による保管コスト削減

在庫管理の精度を高め、適正在庫を維持することは、保管コストの削減に直結します。過剰在庫は倉庫スペースの圧迫と保管費の増大を招き、滞留在庫は廃棄ロスにもつながるため、需要予測に基づいた発注量の最適化が重要です。

在庫回転率を定期的にモニタリングし、動きの遅い商品を特定することで、不要な在庫の蓄積を未然に防げます。ABC分析を活用して商品ごとの出荷頻度を把握し、管理レベルにメリハリをつけることも効果的な手法です。

WMSを活用すれば、在庫のリアルタイム把握とデータ分析が容易になるため、勘や経験に頼らない精度の高い在庫管理を実現できます。

物流費の削減にはWMSの導入が効果的

物流費の削減方法はさまざまですが、中でもWMS(倉庫管理システム)の導入は、複数の課題に同時にアプローチできる包括的な施策です。WMSは、在庫管理の精度向上、入出荷作業の効率化、棚卸工数の削減、ロケーション管理の最適化といった機能を備えており、保管費・荷役費・物流管理費の削減を幅広く支援します。

WMSによる業務の標準化は、属人化の解消とヒューマンエラーの防止にもつながります。作業手順がシステムによって統一されるため、新人スタッフでも一定の品質で業務を遂行でき、教育コストの削減にも寄与します。

さらに、WMSで蓄積されたデータを分析することで、需要予測の精度向上や発注量の最適化にも活用可能です。物流費の「見える化」を実現し、継続的な改善サイクルを回すための基盤として、WMSの導入は有効な選択肢といえます。

まとめ

物流費は2020年代に入り上昇傾向が続いており、2024年問題によるドライバー不足、燃料費の高騰、EC需要の拡大、人件費の上昇といった複合的な要因が背景にあります。JILSの調査データからも、売上高物流コスト比率が5%台で定着しつつある現状が読み取れます。

物流費を削減するためには、拠点の最適化や配送効率の改善、WMSの導入、3PLの活用、在庫管理の適正化など、多角的なアプローチが求められます。中でもWMSは、倉庫業務全体の効率化とデータに基づく継続的改善を支える基盤として、幅広い企業に適した施策です。

自社の物流費の内訳と推移を正確に把握したうえで、優先度の高い施策から段階的に取り組んでいきましょう。

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