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物流管理と倉庫管理の違いとは?役割・範囲・求められる業務をわかりやすく解説

2025.12.02

倉庫業務・管理

「物流管理と倉庫管理の違いがわからない」 「自社に必要なのはどちらのシステムだろうか」

物流管理と倉庫管理は役割が重なる部分が多いため、混同されやすい概念です。しかし、管理範囲・目的・担当業務は明確に異なります。この違いを理解することで、業務改善やシステム導入の判断がスムーズになり、物流コストの最適化につながるでしょう。

本記事では、物流管理と倉庫管理それぞれの定義から具体的な違い、担当業務、そして両者の連携方法まで体系的に解説します。自社の物流課題を解決する際の参考にしてください。

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物流管理と倉庫管理の定義

まずは物流管理と倉庫管理それぞれの定義を明確にしましょう。両者は管理する範囲と目的が根本的に異なります。

  • 物流管理とは
  • 倉庫管理とは

物流管理とは

物流管理とは、調達・生産・在庫・配送・納品まで、商品が顧客に届くまでの一連の流れを統合的に管理する業務です。輸送・配車・在庫計画・在庫配置など、サプライチェーン全体を扱う広範囲のマネジメント領域といえます。

たとえば、製造業では原材料の調達から製品の生産、複数拠点への在庫配置、そして顧客への配送までを一貫して管理します。小売業では、仕入先からの商品調達、複数店舗への配分、顧客への配送を最適化する活動が物流管理に該当します。

全体最適を目的とした戦略的な業務であり、配送リードタイムの短縮やコスト削減、需給バランスの最適化を目指します。

倉庫管理とは

倉庫管理とは、倉庫内のモノの流れ(入庫・保管・棚入れ・ピッキング・出庫)を管理する業務です。現場オペレーションの効率化と正確性が主目的で、棚卸し・在庫管理・ロケーション管理など倉庫内に限定した領域を扱います。

具体的には、倉庫に届いた商品の検品、適切な場所への格納、注文に応じた商品の取り出し、梱包、出荷といった一連の作業を管理します。また、倉庫内の在庫数を正確に把握し、商品がどこにあるかを明確にするロケーション管理も重要な業務です。

誤出荷や配送遅延を防ぎ、サービス品質を維持する役割を担います。倉庫管理が適切におこなわれていないと、欠品による配送遅延や、マニュアル不足による作業効率の低下が発生する可能性があります。

物流管理と倉庫管理の違い

物流管理と倉庫管理の違いを、4つの観点から詳しく見ていきましょう。それぞれの特性を理解することで、自社に必要な施策が明確になります。

  • 管理範囲の違い
  • 目的の違い
  • 担当する業務の違い
  • 必要スキルの違い

管理範囲の違い

物流管理はサプライチェーン全体、倉庫管理は倉庫内オペレーションが対象です。物流管理は原材料の調達から納品まで、モノが動くすべてのプロセスを管理します。

たとえば、物流管理では複数の倉庫間での在庫移動、配送ルートの最適化、輸送業者との調整など、倉庫の外での活動も含まれます。一方、倉庫管理は特定の倉庫内での保管・出荷という運用に特化しています。

物流管理が「モノが動くすべて」を対象とするのに対し、倉庫管理は「特定拠点の運用」に焦点を当てているのです。

目的の違い

物流管理は配送リードタイム短縮、コスト最適化、全体効率化を目指します。倉庫管理は作業効率化、保管精度向上、誤出荷防止が目的です。

物流管理が全社最適の視点で業務を進めるのに対し、倉庫管理は倉庫内の現場最適に重点を置きます。物流管理では、全体のコストを抑えながら配送スピードを上げることが求められますが、倉庫管理では倉庫内の作業をいかに正確かつ効率的におこなうかが重視されます。

両者の目的は異なりますが、倉庫管理の効率化が物流管理全体の最適化につながるため、密接に関連しています。

担当する業務の違い

物流管理は輸送手配、在庫配置、配車、需要予測、物流KPI管理を担当し、倉庫管理は入庫、棚入れ、在庫数管理、ピッキング、検品、出荷を担当します。

物流管理が「どこに、どう届けるか」という物流戦略を考えるのに対し、倉庫管理は「倉庫内でどう扱うか」という現場オペレーションを実行します。

たとえば、物流管理では「この商品はA倉庫に多めに配置し、B倉庫には少量にする」といった在庫配置の判断をおこないます。一方、倉庫管理では「A倉庫内でこの商品をどの棚に置き、どのように取り出すか」を決定します。

業務領域が根本的に違うため、求められる知識やスキルも大きく異なるのです。

必要スキルの違い

物流管理にはデータ分析、需給調整、配車ロジック、コスト管理のスキルが必要な一方、倉庫管理には作業設計、ロケーション管理、WMS運用、現場改善スキルが重要になります。

物流管理では、市場動向や販売データを分析し、需要を予測する能力が求められます。また、複数の輸送手段や配送ルートを比較し、最適な選択をする判断力も必要です。

一方、倉庫管理では、倉庫内のレイアウトを効率的に設計する能力や、作業者が迷わず作業できるマニュアルを作成する能力が重視されます。また、倉庫管理システム(WMS)を効果的に運用し、現場の改善活動を継続的におこなうスキルも欠かせません。

物流管理が担当する主な業務

物流管理が具体的にどのような業務を担当するのか、3つの主要業務について解説します。

  • 輸送・配送管理
  • 需給管理・在庫配置
  • 物流コスト管理

輸送・配送管理

輸送・配送管理とは、配車計画、ルート最適化、輸送品質の管理により、配送コストとリードタイムを最適化する物流管理の中核業務です。

たとえば、複数の配送先への効率的なルートを計算したり、トラックの積載率を最大化する計画を立てたりします。また、配送時間の遵守や荷物の破損防止など、輸送品質の維持も重要な役割です。

近年では、AIを活用した配車システムや、リアルタイムでの配送状況の追跡なども導入が進んでいます。輸送・配送管理の最適化は、物流コスト削減に直結する重要な業務といえるでしょう。

需給管理・在庫配置

需給管理・在庫配置とはどの商品をどの倉庫に置くかを最適化し、欠品と過剰在庫を抑えながら配送コストも削減する重要な判断をおこないます。

需給管理では、販売予測や季節変動を考慮し、適切な在庫量を維持します。また、在庫配置では、需要が多い地域に近い倉庫に商品を多めに配置することで、配送時間を短縮できます。

たとえば、EC事業者では、関東地域の需要が高い商品は関東の倉庫に多く配置し、関西地域向けには関西の倉庫に配置することで、配送効率を高めることができるでしょう。

適切な需給管理と在庫配置により、機会損失を防ぎながらコストを削減できます。

物流コスト管理

物流コスト管理とは輸送費、人件費、外部委託費、保管費の分析と最適化をおこない、経営に直結する物流コストを削減します。

物流コストは企業の利益に大きく影響するため、継続的な分析と改善が必要です。各コスト項目を詳細に分析し、削減余地のある部分を特定します。

たとえば、輸送費では配送ルートの見直しや共同配送の導入、人件費では作業の自動化やシステム導入による効率化、外部委託費では複数の物流業者の比較検討などをおこないます。

定期的にKPIを設定し、目標に対する達成度を測定することで、継続的な改善活動につなげることが重要です。

倉庫管理が担当する主な業務

倉庫管理の主要な業務について、3つの観点から詳しく解説します。

  1. 入庫・検品・棚入れ
  2. ピッキング・梱包・出荷
  3. 在庫管理・棚卸し

入庫・検品・棚入れ

入庫・検品・棚入れとは入庫情報の確認、検品、ロケーション登録は倉庫運用の基盤作業で、誤登録は後続工程に大きな影響を与えます。

入庫作業では、まず倉庫に届いた商品を荷下ろしし、入庫伝票の内容と一致しているかをチェックします。その後、商品の中身に間違いがないか検品し、商品の保管場所ごとに仕分けをおこないます。

検品でのミスや、誤った場所への格納は、後のピッキング作業で商品が見つからなくなる原因となります。そのため、バーコードやハンディターミナルを活用し、正確な作業をおこなうことが重要です。

入庫から棚入れまでの一連の作業を効率化することで、倉庫全体の生産性が向上します。

ピッキング・梱包・出荷

ピッキング・梱包・出荷とは注文データに基づき正確に商品を取り出す重要工程で、出荷精度は顧客満足度に直結します。

ピッキング作業では、注文内容に従って倉庫内から商品を取り出します。この際、ピッキングリストやハンディターミナルを活用し、正確な商品を正確な数量取り出すことが求められます。

梱包では、商品が配送中に破損しないよう適切な梱包材を選択し、丁寧に梱包します。出荷では、配送伝票や納品書を添付し、集荷の手配をおこないます。

誤出荷は顧客からのクレームにつながり、企業の信頼を損なう可能性があります。そのため、各工程でのダブルチェック体制を整え、出荷精度を高めることが重要です。

在庫管理・棚卸し

在庫差異の解消、循環棚卸し、ロケーション最適化をおこなう、倉庫運用の精度と効率を左右する業務です。

在庫管理では、倉庫内の在庫数をリアルタイムで把握し、適切な在庫量を維持します。また、定期的に棚卸しをおこない、システム上の在庫数と実在庫数の差異を確認します。

差異が発見された場合は、原因を特定し、改善策を講じることが必要です。また、ロケーション管理では、商品の配置を最適化し、ピッキング効率を高めます。

たとえば、出荷頻度の高い商品は出入口に近い場所に配置したり、関連商品を近くに配置したりすることで、作業効率が向上するでしょう。

物流管理と倉庫管理はどう連携すべきか

物流管理と倉庫管理を効果的に連携させることで、物流全体の効率化とコスト削減が実現します。3つの重要な連携ポイントを紹介します。

  • 在庫情報のリアルタイム共有
  • 配送計画と倉庫作業計画の同期
  • KPIを共通化する

在庫情報のリアルタイム共有

物流側の在庫計画と倉庫側の実在庫数がずれると全体最適が崩れます。両部門の情報統合が必須です。

たとえば、物流管理部門が「この商品は在庫が十分にある」と判断して販売促進をおこなっても、実際の倉庫在庫が不足していれば、欠品が発生してしまいます。逆に、倉庫に在庫があるにもかかわらず、システム上で在庫切れと表示されていれば、販売機会を逃すことになります。

リアルタイムでの在庫情報共有により、このような問題を防ぐことができるでしょう。倉庫管理システム(WMS)と物流管理システムを連携させることで、情報の一元管理が可能になります。

配送計画と倉庫作業計画の同期

出荷量予測と倉庫作業キャパシティの整合性が必要で、倉庫側の作業量に合わせた配送計画が重要です。

たとえば、繁忙期に大量の出荷が予定されている場合、倉庫側の作業キャパシティを超えてしまうと、出荷遅延が発生します。物流管理部門は、倉庫の処理能力を考慮した配送計画を立てる必要があります。

逆に、倉庫側も物流管理部門からの出荷予測情報をもとに、必要な人員配置や作業スケジュールを事前に計画できます。両部門が密に連携することで、繁忙期でもスムーズな出荷が可能になるでしょう。

定期的なミーティングや情報共有の仕組みを構築することが、効果的な連携の鍵となります。

KPIを共通化する

物流はリードタイムや輸送費、倉庫は生産性や出荷精度をKPIとしますが、両軸を共通指標として管理すると改善効果が高まります。

従来、物流管理部門と倉庫管理部門は、それぞれ独自のKPIで評価されることが多くありました。しかし、これでは部分最適に陥り、全体最適が実現できない可能性があります。

たとえば、物流管理部門が配送コスト削減を優先するあまり、倉庫に過度な作業負担をかけてしまうケースや、倉庫管理部門が作業効率を優先して、配送スケジュールに遅れが生じるケースなどが考えられます。

共通のKPIを設定し、両部門が同じ目標に向かって協力することで、物流全体の最適化が実現できるでしょう。

まとめ

物流管理と倉庫管理は、管理範囲、目的、担当業務、必要スキルのすべてにおいて明確に異なります。物流管理がサプライチェーン全体の最適化を目指すのに対し、倉庫管理は倉庫内オペレーションの効率化を追求します。

両者を効果的に連携させるためには、在庫情報のリアルタイム共有、配送計画と倉庫作業計画の同期、共通KPIの設定が重要です。自社の物流課題を解決するためには、それぞれの役割を明確にし、適切なシステムと体制を整備することが必要でしょう。

物流管理や倉庫管理の効率化には、高精度なデータ活用が欠かせません。ブライセンが提供する「COOOLa」は、AI・機械学習による需要予測や在庫最適化を支援するソリューションです。物流全体の可視化と最適化を実現したい方は、ぜひCOOOLaの導入をご検討ください。

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