棚卸に時間がかかる主な原因
棚卸を早く終わらせるためには、まず時間がかかる原因を把握することが重要です。原因を特定せずに対策を講じても、根本的な改善にはつながりません。ここでは、多くの現場で共通して見られる原因を整理していきます。
- 倉庫内が整理されていない
- 作業手順やルールが統一されていない
- 手作業・紙ベースの記録によるミス
倉庫内が整理されていない
商品の配置が乱雑な状態では、在庫を探す時間やカウント漏れが発生しやすくなります。同じ商品が複数の棚に分散して保管されていると、それぞれの場所でカウントした数を集計する手間も加わり、作業時間が膨らむ原因となります。
また、通路に商品が置かれていたり、棚の奥に別の商品が隠れていたりすると、見落としのリスクも高まります。こうした状況を防ぐには、日頃から定位置管理を徹底し、棚卸前に整理整頓を行っておくことが効果的です。整理された倉庫では、カウント作業がスムーズに進み、確認漏れも減少します。
作業手順やルールが統一されていない
担当者ごとに作業方法が異なると、重複カウントや抜け漏れが発生する原因になります。「どこから数え始めるか」「どの単位で記録するか」といった基本的なルールが決まっていないと、作業効率は大きく低下します。
さらに、特定の担当者しかやり方を知らない「属人化」の状態では、その人が不在のときに作業が滞ってしまうでしょう。この問題を解消するには、作業手順を明文化したマニュアルを作成し、全員が同じ方法で作業できる体制を整えることが必要です。事前に説明会を開いてルールを共有しておけば、当日の混乱を防げます。
手作業・紙ベースの記録によるミス
リスト方式やタグ方式など、手書きによる棚卸では記入ミスや計算ミスが起こりやすい傾向にあります。数字の書き間違いや転記漏れが発生すると、後から照合したときに差異が見つかり、やり直しを余儀なくされることも少なくありません。
こうしたヒューマンエラーを完全に防ぐのは難しいため、ダブルチェックの仕組みを設けるか、バーコードスキャンなどのツール導入を検討するのが現実的な対策です。手書き作業を減らすほど、ミスの発生率は下がり、結果的に作業時間の短縮につながります。
棚卸を早く終わらせるための事前準備
棚卸当日の作業を効率化するためには、事前準備が欠かせません。準備が不十分なまま当日を迎えると、想定外のトラブルで時間を浪費してしまいます。日頃から少しずつ準備を進めておくことで、当日の負担を大幅に軽減できます。
- 倉庫内の整理整頓を徹底する
- 作業マニュアルと役割分担を明確にする
- 日頃から入出庫記録を正確につける
倉庫内の整理整頓を徹底する
棚卸を効率的に進めるためには、同じ商品を同じ棚にまとめて保管することが基本です。分散保管をやめるだけで、カウント作業と集計作業の両方が簡略化されます。
加えて、5個・10個単位でカウントしやすいように商品を配置しておくと、数える時間を短縮できます。たとえば、10個ずつ束ねて並べておけば、束の数を数えるだけで在庫数を把握可能です。商品ごとに定位置を決め、入出庫のたびにその位置を守るルールを徹底すれば、棚卸前の整理作業も最小限で済みます。
作業マニュアルと役割分担を明確にする
棚卸手順、記入方法、差異が出た場合の対処法をマニュアル化しておけば、担当者が迷うことなく作業を進められます。口頭での説明だけでは認識のズレが生じやすいため、文書として残しておくことが重要です。
さらに、担当エリアの割り振りを事前に決めておくと、当日の作業がスムーズに進行します。倉庫の見取り図を作成し、誰がどのエリアを担当するかを明示しておきましょう。棚卸前に説明会を開催して全員でルールを確認しておけば、作業中の質問や確認作業を減らせます。
日頃から入出庫記録を正確につける
日々の入出庫を正確に記録しておけば、棚卸時に大きな在庫差異が発生しにくくなります。帳簿上の理論在庫と実在庫が近い状態であれば、差異の原因を追求する時間も短縮可能です。
逆に、日頃の記録がいい加減だと、棚卸のたびに原因不明の差異に悩まされることになります。入出庫時に「その場で記録する」習慣を全員に徹底させることで、棚卸作業全体の負担軽減につながります。日常業務の精度向上が、結果として棚卸の効率化に直結するのです。
棚卸当日に実践すべき効率化のコツ
事前準備を整えたうえで、当日の作業を計画的に進めることで棚卸時間を短縮できます。作業の進め方やチェック方法を工夫するだけでも、大幅な時間短縮が可能です。ここでは、現場ですぐに実践できる効率化のコツを紹介します。
- カウント済みの目印をつける
- 数える方向と順番を統一する
- 情報共有と進捗管理を徹底する
カウント済みの目印をつける
カウントが完了した在庫には目印をつけることで、二重カウントや抜け漏れを防止できます。シンプルな方法ですが、効果は絶大です。
具体的には、確認済みの商品にシールを貼る、管理ラベルにチェック欄を設けて印をつけるといった方法があります。毎年同じ作業を行う場合は、年度ごとにシールの色を変えると、前回の棚卸との区別がつきやすくなります。目印があることで、作業の中断や再開もスムーズに行えるため、休憩を挟んでも効率を維持可能です。
数える方向と順番を統一する
棚の数え方に統一ルールを設けることで、重複やカウント漏れを防げます。「左から右へ」「上から下へ」といった基本ルールを全員で共有し、同じ方向で作業を進めましょう。
ルールが統一されていないと、複数人で同じ棚を担当した際に「どこまで数えたか」がわからなくなり、確認作業に余計な時間を取られてしまいます。シンプルなルールでも、全員が守ることで作業精度は格段に向上します。特に広い倉庫や大量の商品を扱う現場では、この基本ルールの徹底が作業時間に大きく影響します。
情報共有と進捗管理を徹底する
担当エリアごとの進捗状況をリアルタイムで共有する仕組みを設けると、全体の作業時間を短縮できます。早く終わった人が遅れているエリアを応援できる体制を構築しておけば、特定の場所に作業が滞留することを防げます。
ホワイトボードや共有シートを使って進捗を可視化し、全員が状況を把握できるようにしておくと効果的です。また、作業中に発生した問題や疑問点をその場で共有できるよう、連絡手段も決めておきましょう。チーム全体で協力する意識を持つことが、棚卸時間の短縮につながります。
棚卸を効率化するツール・システムの活用
手作業での棚卸には限界があります。バーコードやRFID、在庫管理システムなどのツールを活用することで、作業時間の大幅短縮とヒューマンエラーの削減が可能です。導入コストと効果を比較しながら、自社に合ったツールを選定しましょう。
- バーコード・QRコードによる読み取り
- RFIDタグによる一括読み取り
- 在庫管理システムとの連携
バーコード・QRコードによる読み取り
ハンディターミナルやスマートフォンアプリでバーコードをスキャンするだけで、在庫データを記録できる方法です。手書きによる記入が不要になるため、転記ミスや計算ミスを大幅に削減できます。
スキャンしたデータはリアルタイムでシステムに反映されるため、集計作業も効率化されます。専用のハンディターミナルを導入する方法のほか、スマートフォン用のアプリを活用すれば、比較的低コストで始めることも可能です。まずはバーコード管理から導入し、効果を確認してから範囲を広げていくアプローチが現実的といえます。
RFIDタグによる一括読み取り
RFIDは電波を使ってICタグの情報を読み取る技術で、複数のタグを同時に認識できる点が大きな特徴です。バーコードのように1つずつスキャンする必要がないため、大量の在庫を扱う倉庫では作業時間を劇的に短縮できます。
また、箱を開けなくても中身を読み取れるため、梱包された状態のままカウントが可能です。タグへの情報書き換えにも対応しており、入出庫のたびにデータを更新できる柔軟性も備えています。導入コストはバーコードより高くなりますが、商品数が多い現場や棚卸頻度が高い企業では、投資対効果が十分に見込めます。
在庫管理システムとの連携
日々の入出庫データを在庫管理システムで一元管理しておけば、棚卸時に理論在庫と実在庫を照合するだけで作業が完了します。差異が発生した場合も、システムが自動で検出してくれるため、原因の特定が容易になります。
さらに、蓄積されたデータを分析することで、差異が発生しやすい商品や時期の傾向を把握でき、根本的な改善策を講じることも可能です。システム導入には初期費用や運用コストがかかりますが、棚卸にかかる人件費や機会損失を考慮すれば、長期的にはコスト削減につながるケースが多いといえます。
まとめ
棚卸に時間がかかる原因は、倉庫内の乱雑さ、作業ルールの不統一、手作業によるミスの3つに集約されます。これらの原因を把握したうえで、事前準備と当日の効率化、ツールの活用という3つの観点から対策を講じることが重要です。
事前準備では、倉庫の整理整頓、マニュアル作成と役割分担、日頃の入出庫記録の正確化がポイントになります。当日は、カウント済みの目印、数える方向の統一、進捗共有の仕組みを取り入れることで、作業効率が向上します。
さらなる効率化を目指すのであれば、バーコードやRFID、在庫管理システムの導入も検討してみてください。自社の規模や予算に合わせて段階的にツールを取り入れながら、棚卸業務の継続的な改善に取り組んでいきましょう。



















