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棚卸しをしないとどうなる?リスクと正しい実施の重要性を解説

2026.01.30

倉庫業務・管理

棚卸しは手間と時間がかかる作業であり、「できれば省略したい」と考える担当者も少なくないのが実情です。しかし、棚卸しを実施しない、あるいは適当に済ませてしまうと、企業経営に深刻なダメージを与える可能性があります。

棚卸しを怠ることで生じるリスクは、単なる在庫管理上の問題にとどまりません。法人税法では事業年度終了時の実地棚卸が義務づけられており、適切に実施しなければ脱税行為とみなされるケースも存在します。

本記事では、棚卸しをしない場合に発生する具体的なリスク、棚卸しが必要な理由、そして正しく実施するためのポイントまで体系的に解説します。棚卸しの重要性を再確認する機会としてお役立てください。

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そもそも棚卸しとは

棚卸しとは、企業や店舗が保有する商品・製品・原材料などの在庫を実際にカウントし、帳簿上の数量と照合して棚卸資産の金額を確定させる作業です。「在庫の実態を把握するための現物確認」と表現することもできます。

棚卸しには大きく2つの目的があります。1つは「正確な利益の算出」です。売上総利益を計算するには期末の棚卸高が必要であり、これがなければ正しい損益を把握できません。もう1つは「在庫状況の把握」です。帳簿上の数字と実際の在庫に差異がないかを確認し、在庫管理の精度を検証する役割を担っています。

棚卸資産には、販売目的で保有する商品や製品だけでなく、製造途中の仕掛品、原材料、事務用品などの消耗品も含まれます。なお法人税法では事業年度終了時に実地棚卸をおこなうことが義務づけられており、決算時には必ず実施しなければなりません。

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棚卸しをしないとどうなる?起こり得る5つのリスク

棚卸しを実施しないことは、在庫管理の問題だけでなく、経営や法務に関わる重大なリスクを招きます。面倒だからと省略したり、形だけ済ませたりすると、最悪の場合は倒産や法的処罰につながる可能性も否定できません。ここでは、棚卸しを怠った場合に発生する具体的なリスクを解説します。

  • 正確な利益を把握できない
  • 脱税行為と判断される可能性がある
  • 経営判断を誤り倒産リスクが高まる
  • 過剰在庫・欠品が発生する
  • 在庫の品質劣化を見逃す

正確な利益を把握できない

売上総利益は「売上高-売上原価」で算出されますが、売上原価の計算には期末棚卸高が不可欠です。棚卸しをおこなわなければこの数字が確定せず、利益が実態より高く出たり低く出たりする事態が生じます。

たとえば、期末在庫が100万円あるにもかかわらず棚卸しをせずに50万円と見積もった場合、売上原価が50万円分多く計上され、利益は実際より50万円少なく表示されます。逆のケースでは利益が過大に計上されることになり、いずれにしても財務状況を正しく反映できません。正確な利益を把握するためには、棚卸しによる実数確認が欠かせないのです。

脱税行為と判断される可能性がある

法人税法において、事業年度終了時の実地棚卸は義務として定められています。この義務を怠ると、税務当局から脱税行為と判断されるリスクがあり、追徴課税や罰則の対象となる可能性も出てきます。

特に悪質と判断された場合は、意図的な利益操作や粉飾決算とみなされることも考えられます。「忙しくてできなかった」「やり方がわからなかった」といった言い訳は通用しません。法令遵守の観点からも、棚卸しは必ず正確に実施する必要があります。

経営判断を誤り倒産リスクが高まる

正確な利益がわからなければ、経営判断の基盤が揺らぎます。「利益が出ている」と思っていたのに実際は赤字だった、あるいはその逆といった状況では、適切な意思決定を下すことは困難です。

また、棚卸資産が膨らんでいる状態では、仕入れコストや保管コストも増加しており、資金繰りが悪化している可能性があります。在庫が現金化される前に仕入れ費用の支払い期限が到来すれば、帳簿上は黒字でも手元資金が枯渇する「黒字倒産」に陥るリスクも生じます。棚卸しによる正確な在庫把握は、こうしたリスクを回避するための基本動作といえます。

過剰在庫・欠品が発生する

在庫状況を正確に把握できていないと、過剰在庫や欠品といった問題が発生しやすくなります。「あの商品、今どれくらいあったかな」という状態が常態化していれば、適切な発注判断を下すことは不可能です。

過剰在庫は保管コストの増大や不良在庫化のリスクを招き、欠品は販売機会の損失と顧客満足度の低下につながります。こうした事態を防ぐには、棚卸しを通じて在庫の実態を定期的に確認し、発注量や生産量の調整に活かすことが重要です。

在庫の品質劣化を見逃す

棚卸しは数量を確認するだけの作業ではありません。在庫の状態をチェックする貴重な機会でもあります。実際に現物を確認することで、不良品や故障品、賞味期限切れの商品などを早期に発見できます。

棚卸しを実施しなければ、こうした問題のある在庫が見過ごされ、他の商品への悪影響や顧客への不良品出荷といったトラブルにつながりかねません。品質管理の観点からも、棚卸しは欠かすことのできない業務です。定期的な現物確認によって、品質問題の芽を早期に摘み取ることができます。

棚卸しが必要な3つの理由

棚卸しは単なる在庫カウント作業ではなく、企業経営において重要な役割を果たしています。その必要性を正しく理解することで、作業に対する意識も変わってくるはずです。ここでは、棚卸しが必要とされる理由を3つの観点から解説します。

  • 正確な財務諸表を作成するため
  • 適正在庫を維持するため
  • 在庫管理の改善点を発見するため

正確な財務諸表を作成するため

期末棚卸高がなければ、売上総利益を正確に算出することはできません。棚卸資産は会計上の資産として貸借対照表に計上され、損益計算書の売上原価にも影響を与えます。財務諸表に正確な情報を反映するためには、棚卸しが不可欠なのです。

上場企業であれば、監査法人による会計監査の際に棚卸しの実施状況が必ず確認されます。非上場企業であっても、金融機関からの融資審査や取引先からの信用調査において、財務諸表の正確性は重要な評価ポイントとなります。

適正在庫を維持するため

棚卸しを実施することで、在庫の過不足を客観的に把握できるようになります。「この商品は持ちすぎているから発注を抑えよう」「こちらは回転が良いからもう少し仕入れても問題ない」といった判断が、データに基づいておこなえるようになるのです。

在庫の適正化は、保管コストの削減と販売機会の確保という両面でメリットをもたらします。過剰在庫による無駄なコストを削減しながら、欠品による機会損失も防げます。棚卸しは、こうした適正在庫の維持に欠かせない情報を提供してくれます。

在庫管理の改善点を発見するため

帳簿上の数字と実在庫の数字を突き合わせることで、在庫管理における問題点が浮き彫りになります。差異が発生していれば、その原因を探ることで管理体制の弱点を特定できます。

差異の原因としては、入出庫記録の漏れ、数え間違い、紛失、盗難などが考えられます。原因を分析し対策を講じることで、入出庫管理の精度向上やセキュリティ強化につなげることが可能です。棚卸しで得られたデータは、経営改善のための貴重な材料となるでしょう。

棚卸しを正しく実施するためのポイント

棚卸しの重要性を理解していても、実際の作業が不正確であれば意味がありません。正確かつ効率的に棚卸しを進めるためには、事前準備とルールの整備が欠かせません。ここでは、棚卸しを正しく実施するためのポイントを解説します。

  • 事前に対象在庫とルールを明確にする
  • 作業担当者に棚卸しの重要性を周知する
  • 在庫管理システムを活用して効率化する

事前に対象在庫とルールを明確にする

棚卸しを始める前に、対象となる在庫の範囲とカウント方法を明確に定めておくことが重要です。何を数えるのか、どのような単位で記録するのか、未開封品と開封済み品の扱いをどうするのかなど、細かいルールを事前に決めておかないと、担当者によって作業内容にばらつきが生じます。

また、スケジュールや役割分担も事前に明確化しておく必要があります。誰がどのエリアを担当するのか、作業完了の目安時間はどれくらいか、疑問点が生じた場合は誰に確認するのかといった点を決めておけば、当日の混乱を防げます。

作業担当者に棚卸しの重要性を周知する

現場で実際に作業をおこなう担当者が、棚卸しの重要性を理解していないと、どうしても「早く終わらせたい」という意識が先行しがちです。その結果、カウントの精度が落ちたり、確認作業が雑になったりするリスクが高まります。

棚卸しの結果が財務諸表や経営判断にどう影響するのかを共有し、正確な作業の重要性を認識してもらうことが大切です。作業前に説明会を開催したり、マニュアルに目的を明記したりすることで、担当者の意識向上を図りましょう。

在庫管理システムを活用して効率化する

在庫管理システムやハンディターミナルを導入すれば、棚卸し作業を大幅に効率化できます。バーコードをスキャンするだけでデータが記録されるため、手作業によるカウントミスや転記ミスを防止可能です。

一般的に、アイテム数が2,000点を超えるような現場では、システム導入を検討すべきとされています。手作業での管理に限界を感じているのであれば、初期投資と得られる効果を比較検討してみてください。作業時間の短縮だけでなく、リアルタイムでの在庫把握も実現でき、日常の在庫管理全体の精度向上にもつながります。

まとめ

棚卸しを実施しないことは、正確な利益を把握できない、脱税行為と判断される、経営判断を誤る、過剰在庫や欠品が発生する、品質劣化を見逃すといった重大なリスクを招きます。法人税法でも実地棚卸が義務づけられており、省略することは許されません。

棚卸しは正確な財務諸表の作成、適正在庫の維持、在庫管理の改善点発見という3つの目的を持つ重要な業務です。単なるカウント作業として捉えるのではなく、企業経営を支える基盤として位置づける必要があります。

正しく棚卸しを実施するためには、事前のルール整備、担当者への重要性の周知、システム活用による効率化がポイントとなります。自社の棚卸し体制を見直し、正確かつ効率的な実施に取り組んでみてください。

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