物流コストとは?
物流コストとは、商品や原材料の調達から消費者への配送に至るまでの物流プロセス全体で発生する費用の総称です。物流コストは「輸送費」「保管費」「荷役費」「包装費」「物流管理費」の5つに大別され、中でも輸送費が全体の半分以上を占めるケースが多く、コスト構造を把握するうえで最も重要な費目となります。
近年、物流コストが高騰している背景には複数の構造的要因があります。2024年4月に施行されたドライバーの時間外労働上限規制(いわゆる2024年問題)により輸送能力が制約され、運賃の上昇が加速しました。加えて、原油価格の高止まりや円安による燃料費の上昇、EC市場の拡大に伴う小口配送の増加、最低賃金引き上げによる倉庫内人件費の上昇も、コストを押し上げる要因です。
こうした環境下では、物流コストの内訳を正確に把握し、費目ごとに最適な削減策を講じることが不可欠です。次章では、企業が実践できる具体的な削減アイデアを8つ紹介します。
物流コスト削減の具体的なアイデア8選
物流コストの削減は、現状の可視化から始まり、倉庫内オペレーション、配送、拠点戦略、システム導入、外部リソースの活用まで多岐にわたります。ここでは、企業規模や業態を問わず取り組みやすい8つの削減アイデアを解説します。
- 物流コストの「見える化」による現状分析
- 倉庫内作業の効率化と動線の見直し
- 在庫管理の最適化による保管コスト削減
- 配送ルートの見直しと積載効率の向上
- 物流拠点の集約・再配置
- 倉庫管理システム(WMS)の導入
- 輸配送管理システム(TMS)の活用
- 物流業務のアウトソーシング(3PL)の活用
物流コストの「見える化」による現状分析
物流コスト削減の第一歩は、自社のコスト構造を正確に把握することです。輸送費・保管費・荷役費・包装費・物流管理費の費目ごとに金額と比率を「見える化」し、どこにムダが発生しているかを特定することで、効果の高い施策に優先的にリソースを投入できます。
物流コストは複数の部門にまたがって発生するため、経理データだけでは全体像を把握しにくい傾向があります。そのため、物流部門だけでなく、調達・営業・経理などの関連部門と連携し、隠れたコストも含めて網羅的に洗い出すことが重要です。
見える化を定期的におこなうことで、コスト変動のトレンドや季節的なパターンも把握でき、先手を打った改善策の立案が可能になります。
倉庫内作業の効率化と動線の見直し
倉庫内のピッキングや仕分け、検品といった作業の効率化は、荷役費の削減に直結します。ABC分析で出荷頻度の高い商品を出荷口付近に配置し、ピッキング動線を短縮することで、作業時間の削減と1人あたりの処理能力向上を実現できます。
ロケーション管理の見直しも有効な施策です。フリーロケーションを導入すればスペース効率が向上し、固定ロケーションと組み合わせることで作業効率と保管効率のバランスを取ることが可能となります。
倉庫レイアウトの改善は一度実施して終わりではなく、取扱商品の変動や出荷傾向の変化に合わせて定期的に見直すことで、継続的な効果を発揮します。
在庫管理の最適化による保管コスト削減
過剰在庫は保管スペースを圧迫し、倉庫賃料や管理工数の増大を招きます。需要予測に基づいた発注量の適正化と在庫回転率のモニタリングにより、必要な商品を必要な量だけ保管する体制を構築することが、保管コスト削減の基本です。
滞留在庫の発生を防ぐためには、商品ごとの出荷頻度や季節変動を分析し、管理レベルにメリハリをつけることが効果的です。動きの遅い商品を定期的に特定し、値引き販売や廃棄の判断を早めにおこなうことで、スペースの有効活用にもつながります。
在庫管理の精度向上には、リアルタイムでの在庫把握が不可欠です。WMSを活用すれば、勘や経験に頼らないデータドリブンな在庫管理を実現できます。
配送ルートの見直しと積載効率の向上
輸送費は物流コストの中で最も大きな割合を占めるため、配送ルートの最適化は高いコスト削減効果が期待できる施策です。配送先の組み合わせや巡回順序を見直し、走行距離と空車回送を最小化することで、燃料費とドライバーの稼働時間を同時に削減できます。
積載効率の向上も重要な取り組みです。トラック1台あたりの積載量を最大化する「混載」や、他社の荷物と組み合わせる「共同配送」を活用することで、1個あたりの輸送単価を低減できます。
配送管理システム(TMS)を活用すれば、配送ルートの自動最適化や積載シミュレーションが可能となり、属人的な経験に頼らない効率的な配車計画を立案できます。
物流拠点の集約・再配置
物流拠点の数と配置を見直すことで、輸送コストと保管コストの最適なバランスを実現できます。拠点が分散しすぎると各拠点の稼働率が低下し、保管費や人件費が非効率になるため、需要地に近い場所への集約は物流費全体の削減に有効です。
拠点再配置にあたっては、出荷先の分布データや配送リードタイムの要件を分析し、シミュレーションに基づいた意思決定をおこなう必要があります。単純な拠点削減は特定エリアのサービスレベル低下を招くリスクがあるため、慎重な検討が求められます。
クラウド型WMSを導入すれば、拠点を集約した後も複数倉庫の在庫を一元管理できるため、拠点再編と業務効率化を並行して進めることが可能です。
倉庫管理システム(WMS)の導入
WMS(倉庫管理システム)の導入は、倉庫業務全体をデジタル化し、複数の課題に同時にアプローチできる包括的な削減策です。入荷・出荷・棚卸・ロケーション管理を一元的にシステム管理することで、在庫精度の向上、作業の標準化、ヒューマンエラーの防止を実現し、保管費と荷役費の削減に直結します。
WMSによる業務の標準化は、属人化の解消にも効果を発揮します。作業手順がシステムによって統一されるため、新人スタッフでも一定の品質で業務を遂行でき、教育コストの削減にも寄与する仕組みです。
さらに、WMSで蓄積された出荷データや在庫データを分析することで、需要予測の精度向上や発注量の最適化にも活用でき、物流コストの継続的な改善基盤となります。
輸配送管理システム(TMS)の活用
TMS(輸配送管理システム)は、配車計画の立案から配送ルートの最適化、運賃管理、配送実績の分析までを一元的に管理できるシステムです。TMSを活用することで、ドライバーの経験や勘に依存していた配車業務をデータに基づいて最適化でき、輸送費の削減と配送品質の安定化を同時に実現できます。
配送実績データの蓄積・分析により、ルートごとのコスト比較や積載率の推移を可視化できる点も大きなメリットです。改善の効果を定量的に測定し、PDCAサイクルを回すための基盤として活用できます。
WMSとTMSを連携させることで、倉庫内の出荷作業から配送までを一気通貫で管理でき、物流プロセス全体の最適化が可能となります。
物流業務のアウトソーシング(3PL)の活用
物流業務を専門の3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者に委託することで、自社で倉庫や配送網を維持するコストを削減できます。3PL事業者は複数の荷主企業の業務を集約して運営するため、スケールメリットにより1社単独では実現しにくい低コストでの物流オペレーションが期待できます。
アウトソーシングの利点は、コスト面にとどまりません。物流のプロフェッショナルに業務を委託することで、自社のリソースをコア事業に集中できます。繁閑差の大きい業態では、物量の変動に応じた柔軟なリソース調整が可能になる点も有効です。
一方で、委託先との情報共有体制やKPIの設定が不十分だと品質管理が難しくなるリスクもあるため、パートナー選定と運用ルールの設計を慎重におこなう必要があります。
物流コスト削減を成功させるためのポイント
物流コスト削減の施策を導入しても、運用方法を誤ると期待した効果が得られないケースは少なくありません。ここでは、削減施策を成功に導くための3つのポイントを解説します。
- コスト削減とサービス品質のバランスを意識する
- 現場スタッフを巻き込んだ継続的な改善活動をおこなう
- デジタル技術を活用してデータドリブンな意思決定を進める
コスト削減とサービス品質のバランスを意識する
物流コスト削減を進める際に最も注意すべきは、コスト削減がサービス品質の低下を招かないようにすることです。配送リードタイムの延長や在庫の過度な圧縮は、顧客満足度の低下や販売機会の損失につながるため、コスト削減と顧客への提供価値のバランスを常に意識する必要があります。
削減施策を検討する際は、「削減できる金額」だけでなく、「その施策が顧客体験に与える影響」もあわせて評価することが重要です。たとえば、配送頻度の削減はコスト効果が高い一方で、納品リードタイムの延長を伴う場合は顧客との事前合意が欠かせません。
コスト削減はあくまで手段であり、目的は企業の競争力強化にあるという視点を見失わないことが、成功への前提条件となります。
現場スタッフを巻き込んだ継続的な改善活動をおこなう
物流コスト削減は、経営層やマネジメント層の意思決定だけでは実現できません。実際に作業をおこなう現場スタッフの協力と理解を得ることが不可欠であり、改善の目的と効果を共有したうえで、現場発のアイデアを積極的に取り入れる仕組みづくりが重要です。
現場スタッフは日常業務の中でムダや非効率を最もよく把握しています。定期的な改善ミーティングや提案制度を設けることで、小さな改善の積み重ねが大きなコスト削減効果を生み出す可能性があります。
一時的な取り組みで終わらせず、PDCAサイクルを回して継続的に改善を進める体制を構築することが、長期的な成果につながります。
デジタル技術を活用してデータドリブンな意思決定を進める
物流コスト削減の精度を高めるためには、勘や経験に頼る意思決定からデータに基づく判断への転換が求められます。WMSやTMSから得られるデータを活用し、コスト構造の分析、施策効果の測定、改善施策の立案をデータドリブンでおこなうことで、より確実なコスト削減を実現できます。
データの活用は、物流コストの「見える化」にとどまりません。過去の出荷傾向や季節変動のパターンを分析することで、需要予測の精度向上や在庫の適正化にもつながります。
デジタル技術の導入は初期投資を伴いますが、中長期的にはコスト削減効果と業務品質の向上を同時に実現できるため、優先的に検討すべき取り組みです。
倉庫管理の効率化で物流コスト削減を実現するならCOOOLa
物流コストの削減を倉庫管理の側面から実現するなら、クラウド型WMS「COOOLa(クーラ)」の導入が効果的です。COOOLaは、入荷・出荷・在庫管理・棚卸・ロケーション管理といった倉庫業務全体をクラウド上で一元管理でき、在庫精度の向上と作業効率化によるコスト削減を支援します。
クラウド型のため、複数拠点の在庫も一括で把握・管理が可能です。拠点間の在庫移動や需給調整をリアルタイムでおこなえるため、過剰在庫の抑制と欠品の防止を両立できます。
倉庫管理の効率化を通じて物流コストの削減を検討している企業は、COOOLaの導入をぜひご検討ください。
まとめ
物流コストの高騰は、2024年問題によるドライバー不足、燃料費の上昇、EC市場の拡大、人件費の増加といった複合的な要因が背景にあり、今後も企業経営への影響が続くと見込まれます。
削減にあたっては、コストの見える化を起点として、倉庫内作業の効率化、在庫の適正化、配送ルートの最適化、WMS・TMSの導入、3PLの活用など、自社の課題に合った施策を組み合わせることが重要です。加えて、サービス品質とのバランスを意識し、現場を巻き込んだ継続的な改善活動を進めることが成功の鍵となります。
自社の物流コスト構造を正確に把握したうえで、優先度の高い施策から段階的に取り組んでいきましょう。


















