WMS導入による物流倉庫の改善事例
物流倉庫の改善手法の中でも、WMS(倉庫管理システム)の導入は、業務標準化・誤出荷防止・リアルタイム在庫管理を一度に実現できる有効な手段として多くの企業に採用されています。ここでは、WMS導入により業務改善を実現した5つの事例を紹介します。
- 商品の探索時間を10分の1に短縮し棚卸を1日で完了(戸田倉庫様)
- 画像検品システムで出荷作業の生産性が1.7倍に向上(ベルーナ・ジーエフ・ロジスティクス様)
- 6拠点のシステム統合で出荷開始時間を2時間前倒し(ランクアップ様)
- 棚卸時間を18時間から4時間に短縮し作業ミスゼロを達成(サンリツ様)
- EC事業の情報連携を強化しサービスレベルを向上(オートバックスセブン様)
商品の探索時間を10分の1に短縮し棚卸を1日で完了(戸田倉庫様)
化学品を扱う戸田倉庫様では、独自の管理システムに限界を感じていました。とくに慣れない作業員が商品を探す際には10分以上かかることもあり、棚卸には2〜4日を要するなど、業務効率に大きな課題を抱えていた状況です。
クラウド型WMS「COOOLa」を導入しロケーション管理を体系化したことで、商品の探索時間は10分から1分へと大幅に短縮。 棚卸作業も数日かかっていたものが1日で完了できるようになり、誤出荷ゼロも達成しています。
加えて、パソコン操作に不慣れなスタッフでも問題なく使える操作性も、現場定着の大きな要因となっています。
画像検品システムで出荷作業の生産性が1.7倍に向上(ベルーナ・ジーエフ・ロジスティクス様)
3PL事業者であるベルーナ・ジーエフ・ロジスティクス様は、40社の荷主に対応する中で、同梱物の多様化・複雑化が進み、人手による検品作業に限界を感じていました。バーコードのない商品も多く、従来の方法では正確性とスピードの両立が困難な状態です。
WMSと連携した物流画像検品システムを導入し、画像認識による検品を実現した結果、1時間あたりの出荷数が280個から500個へと1.7倍に向上。 同出荷量比較で3名の人員削減にも成功しています。
さらに、画像検品の導入により作業の正確性が担保されるだけでなく、新人スタッフの教育コスト削減にもつながりました。
出典:ベルーナ・ジーエフ・ロジスティクス様の導入事例|COOOLa
6拠点のシステム統合で出荷開始時間を2時間前倒し(ランクアップ様)
化粧品通販を展開するランクアップ様では、6拠点の委託先倉庫が5種類のWMSを使用しており、在庫確認や拠点間連携に多くの時間と手間がかかっていました。システムごとにデータ形式が異なるため、情報の集約にも工数が発生していた状況です。
すべての拠点のWMSをCOOOLaに一本化し自動データ連携を実装したことで、出荷開始時間を2時間前倒しできるようになりました。 6拠点の入荷・出庫・在庫・棚卸を一元管理できる体制が整っています。
加えて、災害時の出荷元拠点の振り替えも容易になり、BCP(事業継続計画)の強化にもつながっています。
棚卸時間を18時間から4時間に短縮し作業ミスゼロを達成(サンリツ様)
医療機器の物流を手がけるサンリツ様では、品番が類似する商品が多く、ロット・シリアル管理が複雑なため、Excelでの在庫管理に限界を感じていました。手作業による管理では棚卸に18時間もの時間を要していた状態です。
クラウド型WMS「COOOLa」を3拠点に導入し、ハンディターミナルによるピッキングチェックを実装した結果、棚卸作業が18時間から4時間に短縮。 WMS適用業務において作業ミスゼロを継続しています。
さらに、荷主がリアルタイムで在庫状況を確認できるようになった点も大きな成果です。情報共有のタイムラグが解消され、荷主との信頼関係の強化にも貢献しています。
EC事業の情報連携を強化しサービスレベルを向上(オートバックスセブン様)
オートバックスセブン様では、EC事業の拡大に伴い、倉庫業務と基幹システムの間で部門間の情報連携に課題が生じていました。データの受け渡しに手作業が残っており、リアルタイムな状況把握が困難な状態です。
クラウド型WMS「COOOLa」を導入し、倉庫業務と基幹システムの連携を強化したことで、EC事業全体のサービスレベル向上を実現。 部門間のリアルタイム情報共有が可能になっています。
システム連携の自動化により、手作業によるデータ入力の工数が削減され、担当者はより付加価値の高い業務に集中できる環境が整いました。
レイアウト・現場改善による物流倉庫の改善事例
WMSのようなシステム導入以外にも、倉庫レイアウトの見直しや現場オペレーションの改善によって成果を上げている企業は少なくありません。ここでは、現場改善を中心に成果を出した3つの事例を紹介します。
- ABC分析によるロケーション変更で作業動線を短縮(食品メーカー物流の事例)
- バーコード管理の導入でピッキングミスを低減(製造・物流現場の事例)
- 自動搬送装置(AGV)の導入で搬送作業を省人化(物流倉庫の事例)
ABC分析によるロケーション変更で作業動線を短縮(食品メーカー物流の事例)
食品メーカーの物流業務を手がける杉村倉庫では、賞味期限や出荷期限の管理に加え、検品・ラベル貼り・ケースピッキング・アソート梱包といった複数の作業を同時に進める必要がありました。飲食店や食材卸への多頻度・小口の当日出荷が求められる環境で、作業効率の向上が大きな課題です。
ABC分析を活用して出荷頻度ごとに商品をランク分けし、保管ロケーションを見直したことで、ピッキング動線の短縮に成功。 作業進捗をディスプレイで可視化し効率的な人員配置にも活用しています。
さらに、繁忙期の波動性に対して柔軟な人員対応をおこなう体制を構築し、複数路線業者を活用した効率的な配送も実現しました。
参考:https://www.sugimura-wh.co.jp/business/case/
バーコード管理の導入でピッキングミスを低減(製造・物流現場の事例)
製造・物流現場では、品番の文字が小さく桁数が多い、見た目が類似する商品が多いといった環境で、目視チェックによるピッキングミスが課題となるケースが少なくありません。誤出荷が発生すると返品対応や再出荷の手間が生じ、コスト面でも負担が大きくなります。
出荷伝票や納品書に記載されたバーコード・二次元コードをハンディターミナルで読み取るシステムを導入することで、目視に頼らず自動で照合が可能になり、品番の見間違いによるヒューマンエラーを低減できます。 作業者の経験値に依存しない、安定した品質の検品体制が実現する点も大きなメリットです。
加えて、RFIDを活用すれば複数の製品を一括で読み取ることも可能となり、ピッキング作業の業務効率化や作業時間の短縮にもつながります。
参考:https://k-cr.jp/factoridge/column/improve_picking_operations/
自動搬送装置(AGV)の導入で搬送作業を省人化(物流倉庫の事例)
物流倉庫では、入出庫にともなう搬送作業に多くの人員と時間を割いているケースが少なくありません。作業員が長距離を歩いて搬送する非効率な作業フローが常態化すると、身体的な負担や人件費の増大にもつながります。
AGV(自動搬送装置)を導入し、パレットやカートの搬送を自動化することで、省人化と作業効率の向上を同時に実現できます。 AGVは設定したルートに沿って自律的に走行するため、人手による搬送作業を大幅に削減可能です。
搬送作業の自動化により、作業員はピッキングや検品といった判断を伴う業務に集中できるようになり、現場全体の生産性向上にも寄与します。近年ではサブスクリプション型での導入も広がっており、倉庫の規模や予算に応じた柔軟な自動化が実現可能になっています。
参考:https://www.logimopro.jp/lmp_academy/what-is-a-logistics-automation
自動化・ロボット活用による物流倉庫の改善事例
近年、物流倉庫ではロボットや自動化設備の活用が急速に進んでおり、大規模な投資だけでなくサブスクリプション型での導入も広がっています。倉庫の規模や課題に応じた柔軟な自動化が実現可能になった今、ここでは2つの事例を紹介します。
- 仕分けロボット280台導入で大規模物流拠点を省人化(ZOZOBASE習志野の事例)
- 仕分けロボット導入で作業人員を12名から4名に削減(山善の事例)
仕分けロボット280台導入で大規模物流拠点を省人化(ZOZOBASE習志野の事例)
ファッションEC大手の大型物流拠点「ZOZOBASE習志野」では、仕分け作業に多くの人員と時間が必要な状況が続いていました。取扱商品数の増加に伴い、人手による仕分けでは処理能力の限界が見えてきた段階です。
仕分け作業をサポートするロボット「t-Sort」を280台導入し、走行ステージを2段式にすることで省スペース化も同時に実現。 人件費の抑制と業務効率・品質の向上を達成しています。
大規模な自動化投資ではあるものの、仕分け精度の向上によるクレーム削減効果も見込めるため、長期的な投資対効果は高いといえます。
仕分けロボット導入で作業人員を12名から4名に削減(山善の事例)
山善の量販店向け物流センターでは、1日最大2万個・約200店舗向けの仕分け作業に多くの人員を割いていました。手作業による仕分けは人件費が高く、繁忙期の人員確保も困難な状況です。
仕分けロボット「t-Sort」を24台導入し、50シュート分の間口を設置した結果、仕分け・出荷の人員を12名から4名に削減。 1日あたり63時間の工数削減を達成しています。
ZOZOBASE習志野と比較すると小規模な導入ですが、それでも大幅な省人化を実現しており、中規模の物流拠点でも自動化の効果が十分に得られることを示す好例です。
物流倉庫の改善を成功させるポイント
ここまでさまざまな改善事例を紹介してきましたが、成功事例にはいくつかの共通するポイントがあります。自社で改善を進める際に意識すべき3つのポイントを解説します。
- 現状の課題を数値で可視化する
- 小さく始めて段階的に拡大する
- システムと現場改善を組み合わせる
現状の課題を数値で可視化する
物流倉庫の改善を成功させるには、現状の課題を数値で可視化することが重要です。ただ「この作業が遅い」と曖昧に把握するのではなく、どの作業に何時間かかっているのか、ミスの発生率はどの程度なのかを数値化することで、より具体的に課題を把握できます。
現状を正確に把握すれば、適切なKPIを設定でき、具体的な改善策の効果測定が可能です。 たとえば、「ミス発生率を5%から3%へ削減する、そのために〇〇の施策を実施する」といった明確なゴールを設定することが大切です。
KPIに基づいた改善サイクルを回すことで、一過性の取り組みに終わらず、継続的な業務改善を実現できます。
小さく始めて段階的に拡大する
物流倉庫の改善では、最初から全面導入を目指すのではなく、一部の業務や拠点から試験導入するアプローチが成功率を高めます。小規模なテスト運用で効果を検証し、課題を洗い出してから横展開することで、投資対効果を最大化できるためです。
とくにWMSやロボットの導入では、現場スタッフの習熟度や既存業務との相性を確認する期間が不可欠です。 段階的に導入範囲を広げることで、現場の混乱を最小限に抑えられます。
本記事で紹介した事例でも、特定の拠点や業務から着手し、効果を確認したうえで他拠点へ展開しているケースが多く見られました。
システムと現場改善を組み合わせる
物流倉庫の改善は、WMSなどのシステム導入だけで完結するものではありません。5S・レイアウト見直し・マニュアル整備といった現場改善を並行して進めることで、効果を最大化できます。
システムと現場の両面からアプローチし、継続的なPDCAサイクルを回すことが、改善を定着させる鍵です。 たとえば、WMSの導入と同時にロケーション配置を見直すことで、システムの機能を最大限に活かせます。
改善は一度きりの取り組みではなく、データに基づいて定期的に見直しをおこなうことで、変化する物流環境にも柔軟に対応できる体制が構築できます。
まとめ
物流倉庫の改善には、WMS導入、レイアウト・現場改善、自動化・ロボット活用といった多様なアプローチが存在します。本記事で紹介した10の事例は、いずれも現状の課題を的確に把握し、自社の業態や規模に合った手法を選択したことで成果を上げています。
改善を成功させるポイントは、課題の数値化、スモールスタートによる段階的な導入、そしてシステムと現場改善の両立です。一つの施策に頼るのではなく、複数のアプローチを組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。
自社の物流倉庫が抱える課題を整理し、本記事の事例を参考に、最適な改善策の検討を進めてみてください。


















