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WMSとTMSの違いとは?物流管理システムの選び方も解説!

2023.09.12

システム

物流業界の企業においては、労働力不足からくる人材難やトラックドライバーの労働時間の上限規制から起きる諸問題「物流2024年問題」、物流量の増加などを背景に、業務効率化が求められています。生産性を落とさず、効率的な物流を実現するため、物流管理システムにより管理を自動化する取り組みが進んでいます。

今回は、物流管理システムの中でもWMS(倉庫管理システム)とTMS(輸配送管理システム)について、違いや選び方を解説します。
さらに、自社にとって最適な物流管理システムの選び方をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

TMSとは?

TMSは「Transport Management System」の略で、日本語では「輸配送管理システム」と呼ばれます。荷物の出荷から配送完了までの配送に関わる工程を管理して効率化するシステムです。

TMSでは輸配送工程における配車管理や進捗管理、実績管理などを行うことができます。配車管理では、倉庫から商品を出荷するときに必要なトラックを最適な数、最適なタイミングで手配することができます。

また進捗管理ではトラックなどで輸送中の商品の現在地をリアルタイムで把握し、到着予定時刻を知り、管理することが可能です。実績管理では、配送実績を記録し管理する機能により、配送後に対応が必要な際にも記録を参照してスムーズに対応ができます。

WMS(倉庫管理システム)とは?機能やメリット・デメリット、導入のポイントまで徹底解説

WMSとTMSの違い


WMS(倉庫管理システム) TMS(輸配送管理システム)
目的 倉庫内の物流業務最適化 輸配送プロセスの効率化
主な機能 在庫管理、入出荷、ピッキング、自動化 配車管理、進捗管理、実績管理
適用範囲 倉庫・物流センター 輸配送(倉庫外)
システム連携 TMS、ERPと連携 WMS、ERPと統合
導入コスト クラウド型は低コスト、オンプレは高コスト クラウド型は低コスト、統合でコスト増


WMS(倉庫管理システム)とTMS(輸送管理システム)は、物流プロセスの異なる部分を最適化するシステムです。WMSは倉庫内の業務を、TMSは輸配送プロセスを効率化します。

以下では、目的、機能、適用範囲、システム連携、コストと導入の5つの観点から違いを詳細に解説し、自社に最適なシステム選びの参考になる情報を提供します。

目的の違い

WMSは倉庫内の物流業務に特化し、在庫管理、入出荷、ピッキングの効率化と正確化を目指します。倉庫作業の自動化と可視化を重視し、作業員の負担を軽減しつつ、迅速かつ正確な業務遂行を支援します。

例えば、在庫の位置や数量をリアルタイムで把握することで、欠品や過剰在庫を防ぎます。また、誤出荷を減らし、顧客満足度を高めることも目的です。

一方、TMSは出荷から配送完了までの輸配送プロセスを管理します。配送ルートの最適化、物流コストの削減、納期遵守を目的とし、効率的な輸送計画を立てることで、企業の競争力を強化します。ドライバーのスケジュール調整や配送遅延の防止を通じて、顧客へのサービス品質を向上させます。

WMSが倉庫内の局所的な効率化を追求するのに対し、TMSは倉庫外の物流全体を最適化します。

機能の違い

WMSは倉庫業務を支える多彩な機能を提供します。リアルタイム在庫管理では、在庫の位置や数量を即時に把握し、正確な在庫コントロールを実現します。入出荷管理では、検品やピッキングを効率化し、作業ミスを最小限に抑えます。
ハンディターミナルによる自動化で、作業員の効率を高め、フリーロケーション管理で棚の配置を柔軟に調整し、倉庫スペースを最大限に活用します。誤出荷防止機能は、品質管理を強化し、信頼性を向上させます。

対して、TMSは輸配送に特化した機能を持ちます。配車管理では、トラックの手配やルート最適化を行い、燃料費や時間を節約します。進捗管理では、リアルタイム追跡で荷物の位置を確認し、到着予定時刻を正確に予測します。
実績管理では、配送記録を分析し、遅延やコストの課題を特定して改善策を提案します。WMSが倉庫内の作業精度を高めるのに対し、TMSは輸送の効率と透明性を確保します。

適用範囲の違い

WMSは倉庫や物流センター内の業務に限定して適用されます。EC事業者では、急速に変動する在庫を管理し、迅速な出荷を可能にします。物流企業では、入出荷の効率化を図り、倉庫運営を円滑にします。
製造業の倉庫では、部品や製品の在庫を正確に管理し、生産ラインとの連携を強化します。小売の配送センターでは、店舗への補充を効率化し、販売機会の損失を防ぎます。

一方、TMSは輸配送プロセス(倉庫外)に特化しています。運送会社では、トラックの配車やルートを最適化し、配送効率を高めます。複数拠点を持つ物流企業では、倉庫間の輸送や配送ネットワークを一元管理します。
配送効率を重視する事業者では、リアルタイムの追跡や納期管理で顧客満足度を向上させます。例えば、グローバルな小売チェーンでは、TMSを活用して地域間の配送を効率化します。WMSは内部業務、TMSは外部プロセスに焦点を当てます。

システム連携の違い

WMSは他のシステムと柔軟に連携し、倉庫データを共有します。TMSと統合することで、倉庫から出荷される荷物の情報を輸配送プロセスに反映し、物流の流れをスムーズにします。ERPとの連携では、在庫データを財務や調達と同期し、経営判断を支援します。

ECプラットフォームとの接続では、注文データをリアルタイムで取り込み、迅速な出荷を実現します。APIやCSVを活用し、物流全体のデータ基盤を構築可能です。

一方、TMSはWMSやERPと統合し、配送情報を共有します。WMSから出荷データを取得し、効率的な配送計画を立てます。ERPとの連携では、輸送コストやスケジュールを財務データと統合し、全体の可視性を高めます。顧客対応を強化するため、追跡情報を顧客ポータルやアプリに反映するケースもあります。

TMSは輸配送の効率化を軸に、物流全体の調整役を担います。WMSが倉庫データの提供に重点を置くのに対し、TMSは配送データの統合を重視します。

導入コストの違い

WMSの導入には、クラウド型とオンプレミス型の選択肢があります。クラウド型は初期費用が低く、短期間で導入可能です。月額料金制で運用コストを抑えられ、システムのアップデートやメンテナンスはベンダーが担当するため、手軽に利用できます。

オンプレミス型は初期コストが高いものの、カスタマイズ性が高く、独自の倉庫ニーズに対応可能です。セキュリティやデータを自社で管理したい場合に適します。

一方、TMSのクラウド型も迅速な導入が可能ですが、輸配送の複雑さに応じてコストが増加します。例えば、複数拠点や国際輸送を管理する場合、カスタマイズやシステム統合が必要になり、費用と時間がかかります。

TMSは配送ルートの最適化やリアルタイム追跡のための追加機能により、導入規模が拡大する傾向があります。WMSは倉庫単位の投資で効果を発揮し、TMSは輸配送ネットワーク全体の効率化を長期的に目指します。自社の予算や物流の規模、目標を考慮し、適切なシステムを選ぶことが重要です。

WMSの導入目的とメリット

WMSが目指すところは、商品の在庫管理や入出荷管理を一元的に行うことで、業務を一部自動化し、少ない人員でも効率的かつ迅速に業務を行えるようにすることで業務効率化につなげることにあります。また、同時に人為的ミスの削減を実現できるため、サービス品質向上につなげることも目的の一つです。

メリットとしては倉庫内業務である入出庫、検品、ピッキング、梱包、などの一連の作業の業務効率化を実現する点、人為的ミスを削減できる点、リアルタイムの管理が可能になる点、人的・時間的コスト削減につながる点などがあります。

TMSの導入目的とメリット

TMSが目指すところは、配送業務の効率化です。配車や進捗管理、事後処理を効率化することで、スムーズかつ迅速な配送につなげることを目的とします。

メリットとしては配送業務の効率化やリードタイムの削減、人的・時間的コスト削減につながる点などがあります。

物流管理システムの選び方のポイント

WMSとTMSは、同じ物流管理システムでも目的や管理する業務範囲の違いがあるため、管理したい業務と目的に合わせて選ぶ必要があります。物流管理システムを選ぶときには、次の点を押さえておきましょう。

必要に応じてWMSとTMS両方の導入も有効

先述の通り、WMSとTMSは管理する業務の範囲が異なります。入荷から出荷までの倉庫内作業全体を管理したい場合はWMSを、配送業務を管理したい場合はTMSを選択するとよいでしょう。これらは業務範囲が異なるため、両方のシステムを導入することも考えられます。最適なものを他の物流管理システムも併せて検討するのをおすすめします。

同じWMSでも機能やカスタマイズ性が異なるため注意する

WMSを導入する際には、複数のWMSを比較して吟味することが大切です。なぜなら、WMSによって大きく機能が異なってくるためです。機能面のほか、導入する環境や他のシステムとの連携なども考慮すれば、自社に最適なものがより絞り込まれてくるでしょう。

ブライセンがご提供するWMS「COOOLa」は、自社で設計・開発を行っているため、カスタマイズ性が高い点が特長です。最初だけカスタマイズして終わりではなく、導入後もカスタマイズが必要になったときに、必要な箇所をカスタマイズすることができます。

機能の充実度よりも自社の課題に合わせて選ぶ

物流管理システム全般に言えることですが、「機能が豊富だから便利に使えるだろう。今は使わない機能があっても、いつか使う日が来るだろう」と判断し、漠然と選んでしまうと失敗することがあります。機能がいくら充実していても、使いこなせなかったり、必要のない機能があったりすることもあるためです。自社の課題を解決できる機能を必要十分に備えているかどうかという観点で選びましょう。

システムの操作性も重視する

実際に運用する場面や操作する人員のことを考え、操作性や画面の見やすさを重視するのをおすすめします。使い勝手がよくないとそもそも使われないシステムになってしまうからです。

まとめ

物流管理システムの中でも、導入が進んでいるWMSとTMSの違いや特徴をご紹介しました。物流管理システムは物流工程を効率化し、今の時代に欠かせない存在です。ぜひ自社に合ったものを選定するのをおすすめします。

ブライセンのクラウド型のWMS「COOOLa」は、基本機能とオプション機能が充実しているほか、柔軟なカスタマイズ性を有しており、汎用性と拡張性を両立した使い勝手の良い、思い通りのWMS運用と業務効率化を実現します。使いやすく見やすい画面も好評です。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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