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物流効率化の進め方とは?AI活用と現場でできる改善策のポイントを解説

2026.08.31

倉庫業務・管理

物流倉庫の様子

物流効率化はAIの導入だけで進むように見えますが、現場の作業手順と情報が整っていなければ投資が空回りするのも確かです。

ドライバーの時間外労働に上限が設けられ、改正物流効率化法による荷主・物流事業者への取り組みも求められるなか輸配送だけを効率化すれば済む段階ではなくなっています。

とはいえ対象となる範囲は広く、どこから着手すればよいか迷う担当者の方も多いはずです。

本記事では、物流効率化の対象領域と現場で実践できる改善策、AI活用の進め方を荷主企業の物流部門やセンター運営に関わる方に向けて解説します。自社の改善計画を立てる参考にしてください。

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物流効率化とは?対象となる5つの領域

物流効率化とは、モノを届けるまでの一連の流れからムダを取り除き、投入する人員・時間・コストに対する成果を高める取り組みです。

近年は保管スペースの有効活用やAIによる予測などが注目を集めていますが、 対象となる領域はもっと広く、手をつけられる余地も現場ごとに残っています。

領域 主な業務 代表的な改善策 AI活用の例
調達物流 発注・入荷受け入れ 発注の平準化、入荷予定の事前共有 需要予測にもとづく発注量の算出
輸配送 幹線輸送・配送 積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、共同配送 配車計画や積み付けパターンの自動立案
保管・庫内作業 入荷から出荷まで レイアウトとロケーションの見直し、作業の標準化 出荷実績を解析したロケーションの提案
在庫 在庫管理・棚卸 適正在庫の設定、リアルタイムでの在庫把握 画像認識による検品・棚卸の省人化
情報 実績の記録と共有 倉庫管理システムによる実績データの一元化 蓄積データからの異常検知と傾向分析

多くの企業は輸配送の改善から手をつけますが、荷待ち時間の短縮ひとつをとっても、庫内の荷役や出荷準備が間に合っていなければ効果は限られます。そのため、自社の課題がどの領域に集中しているかを先に見極めてください。

物流と倉庫の管理範囲の違いは、物流管理と倉庫管理の違いとは?役割・範囲・求められる業務をわかりやすく解説もあわせてご覧ください。

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1 倉庫情報
2 現状の課題
3 導入効果
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物流効率化が進まない現場の課題

成果が出ない現場を見ていくと、原因は設備の古さではなく、作業の進め方と情報の扱い方にあることがほとんどです。繰り返し見つかる3つの課題を挙げます。

  • 作業が属人化し標準時間がわからない
  • 在庫と保管スペースにムダが溜まっている
  • 改善の効果を測る実績データがない

作業が属人化し標準時間がわからない

作業の属人化は、物流効率化を妨げる要因のひとつですひとつの工程を特定の担当者しか回せない状態では、その人が休むだけで処理量が落ち込みます。さらに手順が頭の中にしかないため、1件あたり何分かかるのかという標準時間も見えません。標準時間がわからない現場は、増員が必要なのか手順の見直しが必要なのかを判断できず、繁忙期のたびに人を足す対応を繰り返します。

属人化を解消するには、手順書を作成する前に作業工程を分解し、現状を把握することが重要です。 入荷、格納、ピッキング、検品、梱包、出荷と工程を区切り、それぞれで誰が何件処理したかを記録してください。一定期間、作業実績を記録することで工程ごとのばらつきが数字として見えやすくなり、作業効率の高い担当者の手順も参考にしながら、効率性や安全性を考慮した標準作業を整備できます。 標準ができれば新人の教育期間が短くなり、後から自動化やAIを取り入れる際の判断材料にもなっていくでしょう。

在庫と保管スペースにムダが溜まっている

在庫のムダは、保管料だけの問題ではありません。動きの遅い商品が出荷口の近くを占領していると、よく出る商品が奥へ追いやられ、ピッキングの歩行距離が伸びていきます。棚が埋まれば通路に仮置きが増え、探す時間と積み替えの手間も上乗せされます。

もっとも、在庫を減らせば解決するという単純な話でもありません。欠品を恐れて発注ロットを大きくしている、返品在庫の処分ルールが決まっていない、といった上流工程の事情が背景にある場合もあります。 

対策としては、出荷頻度などを基準にABC分析をおこない、 Aランクを出荷口の近くに集める配置替えが有効です。まずは在庫の中身を出荷実績で色分けし、動かない在庫の量を把握するところから始めてみてください。

改善の効果を測る実績データがない

改善の効果を測る実績データがないと、改善施策が継続できません。作業日報を紙で回している現場では集計に手間がかかるため、振り返りが月次にとどまります。月次の数字は個々の施策と結びつけにくく、レイアウトを変えた効果なのか、その月の物量が少なかっただけなのかを切り分けられないからです。

実績を効率的に収集するには、ハンディターミナルやWMSなどを活用し、作業と同時にデータを記録できる仕組みを整えることが有効です。 検品や格納をハンディで処理すれば、作業者・工程・時間帯という3つの軸でデータが自動的に残ります。継続的に実績を蓄積するためにも、作業と同時にデータを収集できる仕組みを整えましょう。 

物流効率化を進める具体的な方法

物流効率化の施策は数多くありますが、大きな設備投資から入ると十分な効果検証ができないまま、多額の投資が必要になる場合もあります。 ここでは投資が小さく効果を測りやすいものから順に、現場ですぐ実践できる4つの方法を紹介します。

  • 現状の作業量を数値で把握する
  • 庫内のレイアウトとロケーションを見直す
  • 在庫を適正な水準に保つ
  • 倉庫管理システムで情報を一元化する

現状の作業量を数値で把握する

物流効率化を進めるにはまず、現状の作業量を数値で把握することから始めましょう。たとえばピッキングで1日800行を4人×5時間で処理したなら、800÷20で1人1時間あたり40行です。

このように数値で作業量を可視化するだけで、改善施策の効果がわかりやすくなります。

なお、入荷は明細行数、梱包は個口数というように、工程によって数える単位は変わります。同じ計算を工程ごとに分けておこなうと、どこが全体の足を引っ張っているかが一目で見えてきます。単位を決めたら一定期間実績を収集し、曜日や時間帯による差も並べて、データを集めていきましょう。

庫内のレイアウトとロケーションを見直す

倉庫内のレイアウトやロケーションの見直しもおこないましょう。実際に、ピッキング作業の時間のうち、歩く時間のほうが長くなっているような現場もあります。のような場合は出荷頻度の高い商品を出荷口の近くへ集めて、作業者や台車の動線ができるだけ交差しないレイアウトに見直すことで、 同じ人数でも処理量を増やすことが可能です

なお、配置換えをおこなう際は、保管効率と作業効率のどちらを優先するか先に決めましょう。棚を詰めることで保管量は増えますが、その分通路が狭くなって台車がすれ違えなくなるリスクが生じます。作業者や台車が安全かつスムーズに通行できる幅を確保したうえで、レイアウトを検討しましょう。 

また、季節商品のような出荷頻度が変動する商品は、固定ロケーションを避けて、空いた棚を柔軟に使用するフリーロケーション方式が向いています。

配置の設計手順については、倉庫業におけるロケーションマップとは?作り方や注意点を解説もご覧ください。

在庫を適正な水準に保つ

保管コストと庫内作業の効率化を実践するために、在庫の適正化もおこないましょう。過剰な在庫は棚とスペースを占有するだけでなく、棚卸の対象点数が増え、さらに廃棄や値引きの損失にもつながるためです。反対に在庫が少なすぎると欠品が増え、緊急出荷や特別便の手配で輸送費が高騰する可能性があります。

適正在庫を決めるには、商品ごとの出荷実績と調達リードタイムを突き合わせ、安全在庫の水準をデータにもとづいて見直しましょう。 勘と経験で決めた発注点をそのまま使い続けている現場は多く、見直すだけで在庫金額が下がる例もあります。滞留在庫への対策については 不良在庫とは?発生する原因と減らすための対策・処分方法を解説で詳しく解説 しています。

倉庫管理システムで情報を一元化する

倉庫管理システムの導入も検討しましょう。在庫数量、在庫数量やロケーション、入出荷実績を一元管理できるようになると、 担当者の記憶や個別のExcelに頼らず現場の状況を把握できます。ハンディターミナルで検品や棚卸を処理すれば作業実績も同時に記録されるため、改善の効果検証まで一続きでおこなえます。

とくに効果が出やすいのは、複数拠点をもつ企業や、荷主ごとに運用ルールが異なる3PL事業者です。拠点ごとにExcelの様式が違う状態では全社の在庫を横断して見ることも難しく、拠点間の在庫融通も進みません。機能や導入形態については、WMS(倉庫管理システム)とは?機能や物流倉庫に導入するメリットまで徹底解説で詳しく紹介しています。

物流効率化を後押しするAI活用

物流効率化をさらに進める手段として、AIの活用も広がっています。 倉庫や配送の現場で実用段階に入っている施策について解説します。

  • 需要予測で入荷量と人員配置を平準化する
  • 画像認識で検品と棚卸の負担を減らす
  • 出荷実績からロケーションと動線を最適化する

需要予測で入荷量と人員配置を平準化する

需要予測は、物流の現場における代表的なAI活用のひとつです。 過去の出荷実績に曜日、天候、販促の予定といった要因を掛け合わせると、担当者の勘に頼らずに翌週の物量を見積もれます。物量の見通しが立てば入荷の受け入れ体制やシフトを前もって組めるため、当日の応援要請や残業でしのぐ運用から抜け出しやすくなります。

需要予測は常に実績と一致するとは限りませんが、 外れ方の傾向を記録しておけば次の予測に反映できます。はじめから全商品を対象にせず、出荷量の多い上位商品に絞って試すやり方で始めると良いでしょう。

画像認識で検品と棚卸の負担を減らす

検品と棚卸は、画像認識との相性がよい作業です。カメラで撮影した商品や荷姿を照合すれば、目視での確認にかかる時間を短くできます。棚を撮影して在庫数を推定する仕組みも実用化が進み、棚卸のために出荷を止める時間そのものを縮められるようになってきました。

ただし、精度は撮影環境に左右されます。照明のむらや荷崩れ、ラベルの汚れがあると誤検知が増えるため、導入前に現場の環境を整える作業が先に必要です。画像認識は既存の検品を丸ごと置き換えるというより、二重チェックの片方をAIに任せて人の負担を軽くする使い方から始めるのが現実的です。小さく試して精度を確かめながら、対象の商品や工程を広げてください。

出荷実績からロケーションと動線を最適化する

ロケーションの最適化も、蓄積した出荷実績をAIで分析することで効率化できる領域です。 どの商品がどの時間帯にどれだけ出るのか、どの商品が同じ伝票で一緒に出るのかを解析すると、人が目視で気づきにくい組み合わせが見えてきます。同時に出やすい商品を近くに置くだけでも、ピッキング時の歩行距離を短縮できる可能性があります。 

解析の材料になるのは、日々の出荷データそのものです。配置の入れ替えには手間がかかるため、提案どおりに全棚を動かすより、上位商品だけを対象に段階的に反映する進め方が向いています。季節性のある商品は基準が変わりやすいので、数か月ごとに解析をかけ直す運用も検討してみましょう。

物流効率化とAI活用に関するよくある質問

物流効率化について、担当者の方からよく寄せられる疑問をまとめました。自社の進め方を決める材料としてお役立てください。

物流効率化にAIはどこまで使えますか。

現時点で実用が進んでいるのは、需要予測、画像認識による検品と棚卸、出荷実績を使ったロケーションの最適化です。いずれも一定量の実績データが前提になるため、記録が紙やExcelに分散している状態では、AIによる分析に必要なデータの収集・整備に手間がかかります。 まず倉庫管理システムなどで日々の実績を同じ形式で残し、データが溜まった工程から順に試してみてください。

物流効率化は何から始めるべきですか。

最初に取り組むべきは、現状を数値で把握する作業です。工程ごとに処理件数と投入した作業時間を一定期間記録すると人時生産性という共通の物差しで各工程を比較できます。数字が出そろってから施策を選べば、投資の判断も社内の合意形成も進めやすくなります。

物流効率化にかかる費用の目安はどのくらいですか。

費用は取り組む領域によって大きく開きがあり、一律の目安を示すのは難しいところです。整理整頓や作業の標準化はほとんど費用がかからない一方、自動倉庫のような大型設備には相応の投資が必要です。倉庫管理システムは、大型設備と比較すると初期投資を抑えて導入できる場合があり、 クラウド型を選べば初期費用を抑えた導入も可能です。契約前に、複数のサービスで費用の内訳を比べてみてください。

まとめ

物流効率化は、輸配送だけを見ていても頭打ちになります。調達、輸配送、保管・庫内作業、在庫、情報という5つの領域を並べ、自社の課題がどこに集中しているかを見極めるところから始めてください。

現場で成果を出すには、着手する順番が重要です。まず工程ごとの実績を数値で把握し、次にレイアウトとロケーション、在庫の水準を整え、そのうえで情報を一元化する仕組みへ広げていく流れなら、施策の効果を1つずつ確かめながら進められます。AIの活用も同じ延長線上にあり、実績データが同じ形式で溜まっている工程ほど、需要予測や画像認識などのAI活用にも取り組みやすくなります。 また、物流効率化にはAIの活用に加えて、日々のデータを自動で収集・管理できるシステムも欠かせません。

弊社が提供するクラウド型倉庫管理システム COOOLaは、入出荷や在庫の実績をハンディターミナルの操作から自動で記録し、複数拠点の状況をまとめて把握できます。AI活用の土台となるデータを整えるところから着手したい方は、ぜひご相談ください。

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