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倉庫の生産性向上は何から始める?施策の優先順位をわかりやすく解説

2026.08.31

倉庫業務・管理

倉庫の生産性向上

倉庫の生産性向上とは、限られた人員と時間でより多くの作業を処理できるよう、現場の業務を改善する取り組みです。 

整理整頓、レイアウト変更、多能工化、システム導入と施策の候補は数多くありますが、着手する順番を誤ると、効果を十分に確かめられないまま、投資が先行してしまう可能性があります。 

本記事では、倉庫の生産性を測る考え方と、投資の大きさで並べた施策の優先順位を、物流倉庫だけでなく工場の資材倉庫や自社倉庫を運営する方にも向けて解説します。現場の改善計画を組み立てる参考にしてください。

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倉庫の生産性向上とは?

倉庫の生産性向上は、入荷から出荷までの一連の作業からムダを取り除き、投入した人員と時間に対する処理量を高める取り組みです。保管スペースの使い方だけを指すわけではなく、企業は次のような庫内の全工程を対象にします。

  • 入荷・検品
  • 格納・補充
  • 保管・在庫管理
  • ピッキング・流通加工
  • 梱包・出荷

現場で生産性向上が課題になっている背景には、物流業界の人手不足があります。ドライバーだけでなく庫内作業者の採用も難しくなっており、企業は人を増やして物量に対応する方法を取りづらくなりました。加えてEC市場の拡大により1件あたりの出荷点数は減る一方で出荷件数は増え、作業者は同じ物量でも以前より多くの手数を求められています。

そのため企業は、限られた人員で処理量を伸ばす方法を考える必要があります。取り組みの成果を判断するとき、担当者が使う基本の物差しが人時生産性です。

『人時生産性 = 処理件数 ÷ 延べ作業時間 (人時)』

人時生産性は、物流倉庫だけの指標ではありません。工場の資材倉庫や自社の保管倉庫でも、担当者が入出庫の件数と作業時間さえ記録できれば、同じ形で算出できます。施策を選ぶ前に測っておくと、担当者は改善の前後を同じ条件で比べられるため、効果のあった施策だけを他の拠点へ展開できます。

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倉庫の生産性向上を妨げる3つの原因

倉庫の生産性が伸び悩む背景には、作業者個人だけではなく、業務の仕組みや運用方法に課題があるケースも少なくありません。 物流倉庫でも工場の資材倉庫でも見つかる3つの原因を解説します。

  • 物量の波にそのまま人員を合わせている
  • モノの置き場が作業量を決めてしまっている
  • 人によって作業スピードに差がある

物量の波にそのまま人員を合わせている

物量の波に合わせて人員を増減させるだけでは、生産性の向上につながりにくくなります。 入荷が特定の曜日や時間帯に集中する現場では管理者がピークに合わせて人を配置しており、閑散な時間帯に手待ちが生まれるためです。反対に管理者が人を絞れば、残業と積み残しが発生し、現場は翌日の作業まで持ち越します。

物量の波そのものを小さくするには、取引先との調整から入りましょう。たとえば担当者が入荷の予定を事前に共有し、納品の時間帯を分散してもらうだけでも、管理者は庫内の人員配置を組み立てやすくなります。社外との調整が難しい場合、格納や補充のように締切の緩い作業を閑散帯へ寄せるなどの工夫で物量の波に振り回されることが少なくなります。

モノの置き場が作業量を決めてしまっている

モノの置き場は、日々の作業量を左右します。出荷頻度の低い商品が出荷口の近くを占領していると、作業者はよく出る商品を取りに行くたびに長い距離を歩かなければなりません。ピッキング作業では移動時間が全体の大きな割合を占めるため、配置の悪さは人時生産性の低下として現れます。

対策としては、出荷実績をもとに商品をABC分析し、 Aランクを出荷口や作業台の近くへ集める配置替えが有効です。ただし一度決めた配置は、季節や商品の入れ替わりによって実態と合わなくなるため、出荷傾向の変化に応じて、定期的に見直しましょう。

人によって作業スピードに差がある

人によって作業スピードに差が出ることも、倉庫の生産性向上における課題です。作業の速さは個人差によるものなので、「この人は遅い」と判断するのではなく、手順の整備から取り組みましょう。

たとえば、処理量に2倍近い差がつく工程があるなら、作業効率の高い担当者の手順を参考にしながら、品質や安全性も考慮して標準化することで、処理効率の向上が期待できます。 そのためには処理者ごとの実績を工程別に可視化しましょう。こうすることで作業の速さだけでなく手順が標準化され、個人差を埋めることが可能になります。

倉庫の生産性向上に有効な施策と優先順位

倉庫の生産性向上の施策は、費用の大きさと効果が出るまでの期間が施策ごとに異なります。代表的な4つを紹介します。

施策 投資規模 効果が出るまでの目安 とくに向いている倉庫
整理整頓と作業の標準化 小 数週間~ 作業手順が人によって違う倉庫
ロケーションの見直し 小〜中 1〜3か月程度  歩行距離が長く、探す時間が多い倉庫
レイアウトの変更 中 3〜6か月程度  動線が交差し、仮置きが常態化している倉庫
多能工化と人員配置の見直し 小 3〜6か月程度  工程ごとに人が固定され、手待ちが出る倉庫
倉庫管理システムの導入 中 3〜6か月程度  実績データが取れず、効果を測れない倉庫
マテハン機器・自動化 大 半年以上 物量が安定して多く、投資回収の見通しが立つ倉庫

※期間は一般的な目安であり、倉庫の規模や商品特性によって前後します。個別の施策の詳しい進め方は、倉庫業務を効率化するには?業務フロー別の改善方法とシステム活用のポイントもあわせてご覧ください。

整理整頓と作業の標準化から着手する

倉庫の生産性向上は、整理整頓と作業の標準化から着手しましょう。不要な資材や返品が通路に置かれたままの現場では、作業者が毎日、探す時間と避けて通る時間が無駄になっているからです。

まず要るものと要らないものを分け、置き場所を決めて表示する作業から始めてみてください。

次に作業の標準化も欠かせません。たとえば管理者が速い担当者の動きを観察して手順へ落とし込み、実際の作業に沿って一度全員で通してみると、書かれた手順と現場の動きのズレも見つかります。整理整頓と標準化は比較的低コストで着手でき、早い段階から効果を確認しやすい施策です。 

ロケーションとレイアウトを最適化する

現場が整ってきたら、ロケーションとレイアウトを最適化しましょう。ロケーションは商品をどの棚に置くかという配置の話、レイアウトは棚や作業台そのものをどう並べるかという構造の話であり、必要な費用も変わります。工事を伴わないロケーションの見直しから着手すれば、コストを抑えながら生産性を向上できるはずです。

固定ロケーションは、作業者が商品の場所を覚えやすい一方で空き棚が生まれやすく、出荷頻度が大きく変動する商品には、フリーロケーションが適する場合があります。 レイアウトの変更まで踏み込む場合、設計の担当者は作業者や台車の動線ができるだけ交差しないレイアウトを検討しましょう。 工事と移設の費用が発生するため、企業は事前のシミュレーションもおこなうと良いでしょう。

多能工化で人員配置の自由度を上げる

人員配置の自由度を上げるために、多能工化にも取り組みましょう。入荷担当は入荷だけ、出荷担当は出荷だけという分担が固まっている現場では、管理者が忙しい工程へ人を動かせず、手待ちと残業が同時に発生するためです。作業者が複数の工程を担当できるようになれば、 管理者はその日の物量に合わせて人を寄せられます。

進め方の出発点は、スキルマップの作成です。誰がどの工程をどの水準でこなせるかを一覧にすると、管理者は教育の対象と順番を決められ、属人化しているボトルネック工程もわかります。作業者の習熟には時間がかかるため、教育は繁忙期を避けて計画的に進めてください。

倉庫管理システムで実績データを取る

実績データを自動で集めるために、倉庫管理システムの導入も検討しましょう。整理整頓やロケーション変更、多能工化の効果を継続的に検証するには、実績データを蓄積することが重要です。 作業者がハンディターミナルで検品や格納を処理する運用にすると、作業者・工程・時間帯という3つの軸で実績が自動的に残ります。

導入の判断で迷いやすいのは、費用と自社業務への適合です。クラウド型を選ぶことで、初期投資を抑えながら複数拠点へ展開できる場合があります。 既存の基幹システムとの連携範囲や、荷主ごとの運用差にどこまで対応できるかは、担当者が契約前に必ず確認してください。

倉庫の生産性向上を続けるための管理サイクル

倉庫の生産性向上は、一度の改善で終わる取り組みではありません。物量も商品構成も人員も変わり続けるため、管理者は測って直す流れを日常の業務へ組み込む必要があります。

  • 工程ごとに人時生産性を測る
  • もっとも低い工程をボトルネックとして特定する
  • 早見表を参考に、投資の小さい施策から着手する 
  • 同じ条件で測り直し、効果を確認する

サイクルを回すコツは、対象を1つに絞ることです。管理者が複数の施策を同時に走らせると、どの施策が効果を出したのか判別できず、次の判断材料も残りません。定期的に工程別の人時生産性を確認する場を設けるだけでも、 現場と管理者の話し合いは具体的になります。工程ごとに数える単位をどう分けるかは、物流倉庫の生産性を扱う記事でも詳しく取り上げます。

倉庫の生産性向上に関するよくある質問

倉庫の生産性向上について、現場のご担当者からよく寄せられる疑問をまとめました。改善の進め方を決める材料としてお役立てください。

倉庫の生産性はどのように計算しますか。

基本の計算式は、処理した件数を投入した延べ作業時間で割る形です。たとえば作業者がピッキングで1日1,200行を5人×6時間で処理した場合、1,200÷30の計算により1人1時間あたり40行が人時生産性です。

工程によって数える単位が変わるため、担当者は入荷を明細行数、梱包を個口数というように、先に単位を決めておいてください。

ピッキングの生産性の平均はどのくらいですか。

公的に公表された平均値は見当たらず、数字は商品の大きさ、1オーダーあたりの行数、倉庫の広さで大きく変わります。担当者が他社の数字と比べるよりも、自社の過去実績を基準に置き、改善の前後で伸びたかどうかを見るほうが実務では役に立ちます。

同じ商品群・同じ体制で一定期間の実績を蓄積し、 その平均を暫定の基準値としてみてください。

工場の倉庫でも同じ改善方法が使えますか。

工場の資材倉庫や仕掛品置き場でも、考え方はそのまま当てはまります。担当者が入出庫の件数と作業時間を記録できれば人時生産性は算出でき、ロケーションの見直しや標準化といった施策の効果も、物流倉庫と大きく変わりません。

違いが出るのは生産計画との連動部分です。部品の引当をどう扱うかは、生産管理の担当者との調整が必要になります。

現場から改善提案を出してもらうにはどうすればよいですか。

提案が出てこない現場では、作業者が提案しても変わらなかった経験を重ねています。管理者が小さくても採用した提案を実際に形にし、変化を全員へ共有する流れをつくると、次の提案も出てくるようになります。

工程別の人時生産性を掲示し、数字が動いた事実を目に見える形で共有してみてください。

生産性向上のためにまず取り組むべきことは何ですか。

倉庫の生産性向上の第一歩は、現状を数字にする作業です。担当者が工程ごとの処理件数と作業時間を1か月ほど記録するだけで、どの工程が全体の足を引っ張っているかが見えてきます。

ボトルネックを特定できたら、早見表の上から、つまり投資の小さい施策から順に試してみてください。

まとめ

倉庫の生産性向上は、施策の数ではなく着手する順番で結果が変わります。企業は整理整頓と標準化、ロケーションの見直し、多能工化、システム導入、そして自動化と、費用の小さいものから積み上げていく流れが現実的です。

前提になるのは、人時生産性という共通の物差しです。処理件数を延べ作業時間で割るだけの単純な指標でも、担当者が工程ごとに並べればボトルネックの位置がはっきりし、次に選ぶ施策にも迷いません。

また、測って直す流れを続けるには、実績を自動で集める仕組みも欠かせません。弊社が提供するクラウド型倉庫管理システム COOOLaは、検品や格納をハンディターミナルで処理するだけで作業実績を記録し、工程別の生産性を同じ条件で比べられます。現場と経営が同じ数字を見ながら判断できる状態をかなえましょう。

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