在庫整理とは
在庫整理とは、倉庫やバックヤードにある在庫を仕分けし、不要な在庫の処分や置き場所の見直しをおこなう業務です。単に見た目を片づける作業ではなく、保管コストの削減や作業効率の向上につながる、経営に直結する取り組みです。
在庫整理でおこなう作業は、主に以下の3つです。
- 在庫の仕分け(使う在庫と使わない在庫の分類)
- 不良在庫・滞留在庫の処分
- 置き場所と動線の見直し
なお、似た言葉に在庫管理がありますが、在庫管理は在庫の数量・場所・状態を日常的に把握してコントロールし続ける活動を指し、物理的にモノを整える在庫整理とは役割が異なります。倉庫内が整理されていない状態では、正確な在庫数の把握や迅速な入出荷作業は望めません。そのため、在庫整理は在庫管理の土台と位置づけられます。まずは物理的な整理で現状を正しく把握し、そのうえで管理の仕組みを整える流れが基本です。
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- 本番移行
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在庫整理をおこなう目的
在庫整理をおこなう目的は、大きく以下の3つです。それぞれの狙いを理解しておくと、自社で優先すべき取り組みを判断しやすくなります。
- 不良在庫・滞留在庫を把握して処分する
- 在庫を探す時間を減らして作業効率を高める
- 保管スペースを有効活用する
不良在庫・滞留在庫を把握して処分する
在庫整理の第一の目的は、売れる見込みのない不良在庫や、長期間動きのない滞留在庫を洗い出して処分することです。不良在庫は保管スペースを占有するだけでなく、保管コストや管理の手間を生み、資金繰りの悪化も招きかねません。
たとえば、型落ちした商品や破損品が棚の奥に残ったままでは、売上を生まない在庫のために保管費用を払い続けることになります。在庫整理で不要な在庫を明確にし、値引き販売や廃棄などの処分を進めれば、保管コストの削減とキャッシュフローの改善が期待できます。
在庫を探す時間を減らして作業効率を高める
在庫整理には、倉庫内の作業効率を高める目的もあります。在庫の置き場所が整理されていれば、目当ての商品を探し回る時間が減り、ピッキングや棚卸などの作業をスムーズに進められます。
一方で、通路に在庫があふれていたり、同じ商品が複数の場所に分散していたりする倉庫では、経験の浅いスタッフほど作業に時間がかかりがちです。そのため、誰でも迷わず在庫にたどり着ける状態をつくることが、作業の属人化の解消や誤出荷の防止にもつながっていきます。
保管スペースを有効活用する
限られた保管スペースを有効活用できる点も、在庫整理の大きな目的です。不要な在庫を処分すれば、その分の棚や床面積が空き、売れ筋商品の保管や新商品の入荷に充てられます。
また、スペース不足を理由に倉庫の増床や外部倉庫の借り増しを検討している場合、在庫整理によって既存スペースだけで対応できるケースもあります。保管効率の改善は賃料などの固定費の抑制に直結するため、コスト面の効果も見逃せません。
在庫整理の進め方5ステップ
在庫整理は、以下の5つのステップで進めるとスムーズです。行き当たりばったりで始めると途中で作業が滞りやすいため、順序立てて取り組みましょう。
- 担当者とスケジュールを決める
- 在庫を仕分けして不要な在庫を処分する
- AIで滞留在庫の把握や処分候補の抽出を効率化する
- 置き場所と動線を見直す
- 先入れ先出しができる配置に整える
担当者とスケジュールを決める
在庫整理を始める前に、まず担当者の役割分担とスケジュールを決めましょう。在庫整理は通常業務と並行して進めることが多く、責任者や期限が曖昧なままでは作業が後回しにされてしまうためです。
具体的には、エリアごとの作業担当者、処分の判断をおこなう責任者、実施日と完了目標を定めます。すべての在庫を一度に整理しようとせず、エリアや品目を絞って段階的に進める計画にすると、通常業務への影響を抑えられます。
在庫を仕分けして不要な在庫を処分する
次に、在庫を「使う在庫」と「使わない在庫」に仕分けし、不要と判断した在庫を処分します。判断に迷う在庫は保留の置き場を設け、一定期間動きがなければ処分するというルールを決めておくと、作業が止まりません。
また、在庫を処分した際は、帳簿や在庫管理システムのデータも必ず更新しましょう。現物だけを減らしてデータが古いままでは、帳簿在庫と実在庫の差異が生まれ、棚卸や発注の精度が下がってしまうためです。処分の記録は経理処理にも関わるため、担当部署と連携して進めてください。
AIで滞留在庫の把握や処分の判断を効率化する
在庫の仕分けにあたっては、AIの活用で滞留在庫の把握や処分候補の洗い出しを効率化できます。たとえば、ChatGPTなどの生成AIに商品名・在庫数・最終出荷日といった在庫データを読み込ませれば、長期間動きのない在庫の抽出や処分候補のリストアップを短時間で行えます。 出荷頻度で在庫をランク分けするABC分析に対応した在庫分析ツールを使い、動きの少ない商品を機械的に洗い出す方法も有効です。
ただし、AIの役割は候補の抽出と提案までにとどめ、処分するかどうかの最終判断は人がおこないましょう。生成AIの回答には誤りが含まれる場合があり、季節商品のように一時的に動きが止まっているだけの在庫を処分対象にしてしまうおそれもあるためです。あわせて、顧客情報などの機密データを生成AIに入力しない運用ルールも徹底してください。
置き場所と動線を見直す
不要な在庫を取り除いたら、残った在庫の置き場所と作業動線を見直します。出荷頻度の高い商品を出入口や梱包スペースの近くに配置し、作業者の移動距離を短くするのが基本の考え方です。
あわせて、棚や区画に番号を割り振って在庫の住所を決める、ロケーション管理を取り入れましょう。どこに何がいくつあるかを誰でも把握できる状態になれば、探す時間の削減だけでなく、誤出荷の防止にも効果を発揮します。
ロケーション管理の具体的な方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
Excelでのロケーション管理のやり方やメリット・デメリットを解説
先入れ先出しができる配置に整える
在庫整理で在庫の置き場所を見直す場合は、古い在庫から順に出荷できるように、先入れ・先出しの配置を意識しましょう。食品や化粧品など期限のある商材では、新しい在庫が手前に積まれて古い在庫が奥に残ると、期限切れによる廃棄が発生してしまうためです。
具体的には、奥から補充して手前から取り出せる棚の使い方や、入荷日・ロットがひと目でわかるラベル表示が有効です。先入れ先出しを配置とルールの両面で徹底すれば、廃棄ロスの削減と品質の安定につながります。
在庫整理した状態を維持するポイント
在庫整理は一度実施して終わりではなく、整理した状態を保つ仕組みづくりまでが重要です。散らかった状態に戻さないために、以下の4つのポイントを押さえましょう。
- 在庫管理のルールを決めて全員で共有する
- 在庫情報を見える化する
- 在庫管理システムで入出荷と在庫データを連動させる
- AIによる需要予測で在庫が溜まらない発注に変える
在庫管理のルールを決めて全員で共有する
整理した状態を維持するには、在庫の置き方や入出庫時の手順をルール化し、現場全員で共有することが欠かせません。一部の担当者だけがルールを理解している状態では、人の入れ替わりや繁忙期をきっかけに、倉庫はすぐ元の散らかった状態へ戻ってしまいます。
たとえば、入荷した在庫は必ず所定のロケーションに格納する、仮置きは当日中に解消するといった行動レベルでルールを定めます。さらに、写真つきの手順書を掲示するなど、新人でも迷わず守れる形で周知しましょう。
在庫情報を見える化する
在庫の数量や置き場所といった情報を、現場の誰もが確認できる形で見える化することも維持のポイントです。在庫情報が特定の担当者の記憶や手元のメモに依存していると、本人の不在時に在庫を探せず、確認のための問い合わせも増えてしまいます。
そのため、ロケーションごとの在庫一覧や棚の表示を整備し、情報と実際の置き場所を常に一致させましょう。見える化が定着すれば、在庫の乱れに早く気づけるようになり、小さな崩れのうちに修正できます。
在庫管理システムで入出荷と在庫データを連動させる
在庫整理の効果を長期間持続させるには、入出荷のたびに在庫データが自動で更新される仕組みが有効です。人手の記録だけに頼った運用では、記入漏れや転記ミスが積み重なり、実在庫とデータの差異が再び広がってしまうことが多いためです。
在庫管理機能を備えた倉庫管理システム(WMS)を導入すれば、バーコード検品によって入出荷と在庫データが連動し、ロケーション単位・ロット単位での在庫把握を日常業務のなかで維持できます。整理で整えた状態をシステムで固定化することが、リバウンドしない倉庫づくりの近道です。
AIによる需要予測で在庫が溜まらない発注に変える
在庫が整理された状態を根本から維持するには、AIによる需要予測も活用しましょう。従来通り経験と勘に頼った発注では需要の読み違いによる仕入れすぎが起こりやすく、売れ残った在庫がやがて滞留在庫となって倉庫に積み上がります。
一方、AIによる需要予測は、過去の販売実績や季節性などのデータをもとに将来の需要を予測し、欠品と過剰在庫の両方を抑えた発注を後押しする仕組みです。AI需要予測にもとづく発注に切り替えれば過剰在庫の発生自体を抑えられるため、在庫整理をやり直す頻度も減らせます。なお、導入時は一部のカテゴリから小さく試し、予測精度を確かめながら対象を広げるとよいでしょう。
まとめ
在庫整理は、不良在庫の処分や置き場所の見直しを通じて、保管コストの削減と作業効率の向上を実現する業務です。担当者とスケジュールの決定、在庫の仕分けと処分、AIによる滞留在庫把握の効率化、置き場所と動線の見直し、先入れ先出しの配置という5ステップで進め、整理後はルール化・見える化・システム化に加え、AI需要予測による発注の見直しで在庫が溜まらない状態を維持しましょう。
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