物流倉庫の生産性とは?
物流倉庫の生産性とは、投入した人員や時間、設備などに対し、どれだけの成果を得られたかを示す考え方です。少ない負担で多くの商品を正確に処理できるほど、生産性が高いといえます。
主な判断基準は、作業員1人あたりの出荷件数や、1時間あたりのピッキング数です。ほかにも、保管スペースの使用率や誤出荷率、作業コストなどが使われます。
ただし、処理件数だけを増やせばよいわけではありません。作業を急がせてミスや事故が増えると、かえってコストがかかります。作業速度・正確性・安全性のバランスを保つことが重要です。
物流倉庫の生産性を高めるには、作業手順や人員配置を見直し、ムダな移動や待ち時間を減らすことが重要です。 さらに、倉庫管理システムや自動化設備を活用し、無駄な移動や待ち時間を減らすことも効果的です。
物流倉庫の生産性を工程別に分解して測る
物流倉庫の生産性は工程によって数える単位が変わります。そのため、担当者は指標も工程ごとに設計する必要があります。まず工程別の指標を早見表で整理したうえで、入荷から出荷までの見方を3つに分けて紹介します。
入荷と格納は受け入れ側の段取りで決まる
入荷と格納の生産性は、庫内の作業スピードではなく受け入れ側の段取りで判断しましょう。入荷予定が直前までわからない現場では、管理者が人員を多めに待機させるか、到着後に慌てて集めるかの二択になるためです。パレット単位とバラ単位が混在する倉庫では、同じ行数でも所要時間が数倍変わるため、担当者は入荷実績を両者に分けて集計してください。
格納では、作業者が空きロケーションを探す時間にも注目しましょう。 棚が埋まってくると探す時間が増え、格納の工程だけ数字が落ち込む場合もあります。システムが格納先を指示する運用へ移せば、作業者は探す動作そのものをおこなわずに済みます。
ピッキングと検品は移動と確認の時間を分けて見る
ピッキングと検品は、移動の時間と確認の時間を分けて見ましょう。ピッキング作業では、商品を取り出す時間だけでなく、棚のあいだを移動する時間も大きな割合を占めるため、 行数/人時だけを見ても原因までたどり着けないためです。管理者が歩行距離や1オーダーあたりの立ち寄り棚数を並べると、配置の問題か手順の問題かを切り分けられます。
検品では、点数/人時と誤検品率をセットで確認してください。速度だけを追うと作業者の見落としが増え、企業は出荷後の返品対応で余計な工数を負担します。バーコード照合を挟む方式なら、作業者は確認の時間を短縮しながら精度も保てます。改善の具体策は、ハンディターミナルでのピッキング作業の改善方法とはもあわせてご覧ください。
梱包と出荷は締切からの逆算で評価する
梱包と出荷は、出荷締切から逆算して評価しましょう。1日の平均値だけを見ていると、 締切の直前に作業が集中する現場では、平均が悪くないのに終業時刻を過ぎる事態に気づけないためです。管理者が時間帯ごとに個口/人時を並べると、どの時間に処理能力が足りていないかがわかります。
時間帯別の目標を掲げて進捗を現場で共有すると、管理者は残業を前提としない人員配置を組めます。梱包では、作業者が資材のサイズ選定で迷う時間も無視できないため、商品ごとに推奨する箱を決めておくと、資材選定にかかる時間を減らしやすくなります。 出荷の波を読めるようになれば、担当者は便の締め時刻そのものも見直せます。
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物流倉庫の生産性を実績データで管理する方法
効果を計測する仕組みが手作業のままでは、担当者は集計に時間を取られ、改善のサイクルが続きません。倉庫管理システムの実績データを使って日常的に管理する3つの方法を紹介します。
- 作業実績を自動で記録する
- 作業者別の生産性を把握する
- ボトルネック工程へ人員を組み替える
- AIで人員配置を最適化する
作業実績を自動で記録する
物流倉庫の生産性のデータ管理のために、作業実績が自動で残る仕組みを整えましょう。作業日報を紙に書いてExcelへ転記する運用では、集計が終わるころに現場の状況が変わっているためです。作業者がハンディターミナルで入荷検品、格納、ピッキング、出荷検品を処理すると、作業者・工程・処理件数などの実績を記録できます。
記録された実績を、管理者は工程別・作業者別・時間帯別に切り出して確認できます。集計に追われる時間が減る分、管理者は数字を読み解く作業へ時間を回せるはずです。日次で数字を見る習慣がつけば、月末にまとめて振り返る運用より対応も早くなります。
作業者別の生産性を把握する
作業者別の生産性も把握しておきましょう。同じ工程でも処理量に差が出るのは当たり前であり、管理者にとって重要なのは、差が生まれる理由を知ることであるためです。ハンディターミナルの操作履歴を見れば、管理者はどの手順で時間がかかっているかまで追えます。
注意したいのが、データを人事評価へ直結させないことです。現場では人事評価が落ちるのを恐れて記録を避けるようになったり、数字合わせをしたりすることで、データの信頼性が落ちてしまいます。導入前に現場には人事評価には関係なく、手順の欠陥や教育の対象者の選定のためのみに使うことを伝えましょう。
ボトルネック工程へ人員を組み替える
工程別の数字がそろったら、ボトルネック工程へ人員を組み替えましょう。ある工程だけ処理が追いつかない状態では、前工程がどれだけ速く回っても仕掛品が溜まり、企業は出荷までの時間を短縮できないためです。管理者が工程別の人時生産性を並べれば、詰まっている場所はすぐわかります。
人員の組み替えは、多能工の育成と合わせて進めてください。実績データで時間帯ごとの必要人数を試算し、朝礼の時点でその日の配置を決める運用まで広げると、残業と手待ちの両方が減ります。
AIで需要予測と人員配置を最適化する
蓄積した実績データは、AIを活用した需要予測や人員配置の判断支援にも活用できます。 過去の出荷量や曜日、季節、セールの実施状況などをAIに分析させれば、時間帯や工程ごとの作業量を予測しやすくなるためです。
たとえば、午後にピッキングが集中すると予測できれば、管理者は午前中から人員を多めに配置できます。出荷量に応じたシフトを組むことで、手待ち時間や残業の削減も期待できるでしょう。
ただし、AIを導入するだけでは、必ずしも生産性向上につながるとは限りません。 作業実績の記録方法が統一されていなければ、予測の精度も下がります。まずは倉庫管理システムで正確なデータを蓄積し、そのうえでAIを判断支援に活用することが重要です。
物流倉庫の生産性に関するよくある質問
物流倉庫の生産性について、センター運営のご担当者からよく寄せられる疑問をまとめました。指標を設計するときの材料としてお役立てください。
物流の生産性の計算式を教えてください。
基本の式は、処理した件数を投入した延べ作業時間で割る形です。たとえば出荷検品で1日2,400点を6人×5時間で処理した場合、2,400÷30の計算により1人1時間あたり80点が人時生産性です。
分母に休憩時間を含めるかどうかで数字が変わります。担当者は社内で定義を1つに固定してから運用してください。
人時生産性とUPHは何が違いますか。
どちらも1人1時間あたりの処理量を表し、考え方は同じです。UPHはUnits Per Hourの略で、1時間あたりの処理数量を表す指標として使われます。
呼び方よりも、何を1単位として数えているかを社内で揃えるほうが実務では大切です。
物流倉庫の生産性向上の事例にはどんなものがありますか。
事例はロケーション変更による歩行距離の短縮、ハンディ導入による検品時間の削減、入荷平準化による手待ちの解消など幅広くあります。担当者が自社に近い条件の事例を探すときは、扱う商品の大きさ、1オーダーあたりの行数、出荷波動の3点が近いかどうかを確認してください。
具体的な取り組みは、物流倉庫の改善事例10選|業務効率化・コスト削減を実現した企業の取り組みを紹介で詳しく紹介しています。
人事評価へ直接結びつける運用には注意が必要です。
評価へ直結させる運用は、おすすめできません。作業者が数字を管理されていると感じると、記録を避ける行動や数値合わせが起き、データの信頼性そのものが損なわれるためです。
担当者は教育対象の選定や手順の見直しに使う目的を明示し、現場の納得を得たうえで運用してください。
生産性を測るためにどんなシステムが必要ですか。
専用の分析ツールをそろえなくても、企業は倉庫管理システムとハンディターミナルがあれば実績の収集を始められます。入荷検品・格納・ピッキング・出荷検品をハンディで処理する運用にすると、工程別・作業者別・時間帯別の実績が自動的に溜まります。
まずは自社の業務フローに合う倉庫管理システムを選び、記録の仕組みから整えてみてください。
まとめ
物流倉庫の生産性は、処理件数を投入した延べ作業時間で割ることで求められます。企業は倉庫全体をひとつの数字で見るのではなく、入荷から出荷までを工程に分け、それぞれで数える単位を決めるところから着手してください。
工程別に数字を並べれば、ボトルネックの位置が明確になります。作業者別の実績まで把握できれば、管理者は教育や人員配置の見直しへ進めます。さらに、蓄積したデータをAIで分析することで、作業量の予測や人員配置の最適化にもつなげられます。
ただし、AIは現場の課題を自動で解決するものではありません。まずは正確な実績を継続して記録し、AIが判断に使えるデータを整えることが重要です。
弊社が提供するクラウド型倉庫管理システム COOOLaは、庫内の作業をハンディターミナルで処理しながら、工程別・作業者別・時間帯別の実績を蓄積できます。感覚ではなく実績データにもとづいて判断できる状態を整え、継続的な改善につなげましょう。

















