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WMS・WCS・WESの違いとは?

近年、倉庫管理業務を効率化するために、倉庫業務を要するあらゆる業種がWMSやWCS、WESなどのシステムを導入しています。これから導入を検討する際には、ぜひWMS・WCS・WESの3つの違いを押さえておくと最適なシステム選定に役立つと考えられます。今回は、3つのシステムの基本機能と違いをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
WMS・WCS・WESとは?
まずは、WMS・WCS・WESそれぞれの概要と基本機能をご紹介します。
●WMSとは
WMSは「Warehouse Management System」の略で、日本語では「倉庫管理システム」と呼びます。主に倉庫内の物流業務を管理し、円滑化するためのシステムです。
製造業では原材料や製品を保管する倉庫、小売業などでは商品を保管する物流倉庫などを管理していますが、そのような倉庫に保管されている商品の在庫管理や入出荷管理、仕分、加工、保管、ハンディターミナルを用いた入荷検品棚入など一連の倉庫内物流業務を管理する機能が備わっています。
●WCSとは
WCSは「Warehouse Control System」の略で、日本語では「倉庫制御システム」と呼びます。倉庫内にある機器やロボットなどの機械設備をリアルタイムに制御するシステムを指します。
最適なスケジュール設定や指示といった制御・監視が可能であり、倉庫内作業の効率化を実現します。制御対象となるのは、倉庫内によく設置されているコンベアや自動搬送機器、ロボットアーム、自動倉庫などです。
●WESとは
WESとは「Warehouse Execution System」の略で、日本語では「倉庫運用管理システム」と呼ばれます。WESは、倉庫管理と倉庫制御の機能を兼ね備えたシステムです。
在庫管理や入出庫管理、ピッキングなど倉庫内の物流業務を管理すると共に、倉庫内にある機器やロボットなどの機械設備をリアルタイムに制御する機能も有します。
WMS・WCS・WESの目的と違い
それぞれのシステムの違いを明らかにするために、目的や効果を確認しておきましょう。
1.WMS(倉庫管理システム)の目的と効果
WMSの目的は、商品の在庫管理や入出荷管理を一元的に行うことで、業務効率化やサービス品質向上を実現することにあります。扱うのは倉庫内における人による作業と商品です。そのため、WCSやWESのように機械設備の管理はできません。
他の具体的な効果として、人為的ミスを削減できる、リアルタイムの管理が可能、コスト削減につながるなどがあります。
2.WCS(倉庫制御システム)の目的と効果
WCSの目的は、倉庫内で稼働している設備機器などを制御・監視することで、省人化や自動化などを行い、業務効率化やサービス品質向上を実現することにあります。
WMSやWESと異なり、人による作業は管理対象から外れます。人の作業そのものを効率化することは不得手といえるでしょう。
WCSによる他の効果として、機器の故障や誤動作などの予防や、それらが発生した場合に迅速な対応が可能になるという点が挙げられます。
3.WES(倉庫運用管理システム)の目的と効果
WESの目的は、倉庫内の作業と設備の制御の両方を包括的に管理することで、業務効率化やサービス品質向上を実現することにあります。
WESでは、WMSとWCSそれぞれに得られる効果を両方得ることができます。結果的に、倉庫内の全体的なオペレーションの最適化につながるという効果が期待できます。
WMS・WCS・WESの選び方のポイント
WMS・WCS・WESそれぞれの違いを踏まえると、3つのシステムをどのように選ぶことができるのでしょうか。選定時に確認しておきたいポイントを解説します。
●倉庫における現状課題を明確化
WMS・WCS・WESはいずれも倉庫内で行われている業務の効率化を実現するシステムです。そのため、倉庫における現状課題を明確にし、具体的にどのような課題を解決したいのかを定義します。そのことで、最適なシステムが見えてくるでしょう。人による業務プロセスを整理して効率化したい場合にはWMSが第一候補に挙がりますが、課題の中身によってはWCSやWESのほうが適している可能性もあります。より具体的にすることで、システム選定のみならず、導入後の運用時にも課題解決のために取り組んでいけるでしょう。
●モノ・作業と機械設備など、管理対象を明確にする
WMS・WCS・WESはそれぞれ、明確に管理対象が異なります。WMSはモノと作業、WCSは機械設備のみ、WESはモノと作業と機械設備すべてを管理対象とします。自社の倉庫内では、何を管理対象とすべきか、課題や目的をもとに検討する必要があります。
●利用できるデータと範囲を確認する
システムを導入すれば、必ず何らかのデータを取り扱うことになります。WMS・WCS・WESはそれぞれ、どのようなデータを利用するのか、またその利用範囲を確認しておくと良いでしょう。
例えばWMSの場合には、ハンディターミナルをシステムと連携させ、商品の在庫状況やピッキングなどの各作業のデータを取得することになります。また、他の倉庫拠点がある場合に、互いにデータを連携させて管理することも多いため、複数拠点の場合、それを見据えたシステム展開を想定しておく必要があるでしょう。
まとめ
倉庫内を効率的に管理するWMS・WCS・WESは、いずれも業務効率化の一助となります。今回ご紹介した内容をぜひ選定時にお役立てください。
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